徳増栄太郎

徳増栄太郎: 日本の西洋経済史学者

徳増栄太郎（とくます えいたろう）は、1894年に神奈川県横浜市で生まれ、1963年に亡くなるまで日本の西洋経済史学の発展に貢献した学者です。彼は初代横浜国立大学経済学部学部長を務め、教育分野でも重要な役割を果たしました。

人物・経歴

徳増は、1919年に東京高等商業学校の専攻部を卒業し、その後上田貞次郎の指導を受けました。彼は上智大学で教鞭を取る他、1921年からは文部省の在外研究員としてイギリス、ドイツ、フランスへ留学しました。1924年に帰国後、横浜高等商業学校の教授に就任し、経済原論と商業史を教え始めます。

1947年には一級官に任命され、1949年には横浜国立大学経済学部の学部長および横浜経済専門学校の校長事務も兼務しました。1950年には横浜国立大学附属図書館の経済学部分館長も務め、大学の学びの環境を整備しました。退官後、彼は横浜国立大学の名誉教授の称号を受け、その後も学術界にその名を残しました。

生前、徳増は正四位勲二等瑞宝章、従三位という栄誉を受け、彼の蔵書は横浜国立大学附属図書館において「徳増文庫」として保管されています。経済学の理論においてはマルクス主義を支持していましたが、裕福な家庭に住んでいたため、非常にバランスの取れた教育方針を持っていました。彼は生徒に対し、自らの思想を強要することはせず、自由な思考を促していました。

著作

徳増栄太郎は多くの著書や訳書を残しています。彼の著書には、1929年に出版された『ヨーロッパ経済史: 中世』や、1931年の『商業史教科書 外國之部』、1935年の『日本商業史教科書教授資料』などがあります。また、経済学に関する幅広いテーマについて講義を行い、研究成果を多くの論文や書籍として発表しました。

彼の学問的貢献は、特に昭和初期の日本における経済学の教育に大きな影響を与えました。彼自身がその時代の社会経済的課題に真摯に向き合い、新しい学問の枠組みを創造していく姿勢は、後の研究者たちにも大きな啓示を与えたのです。

訳書としては、ウィリアム・アッシュレーの『英国経済組織の史的考察』や、ダグラス・コップランドの『濠洲経済論』などがあり、西洋の経済思想を日本に紹介する重要な役割を果たしました。こうした努力により、徳増は日本の経済学界における重要な人物として記憶され続けています。

彼の生涯を通じての影響力は、単に学術的な面に留まらず、彼が育成した多くの学生たちにも受け継がれ、彼の名前は日本の経済学の歴史に刻まれました。特に、彼の著作や教えを通じて、多くの経済学者たちが成長したことは、彼にとって最大の喜びであったことでしょう。

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