徳川の女帝 大奥

徳川の女帝 大奥

『徳川の女帝 大奥』は、1988年に製作された時代劇映画であり、にっかつ・シネ・ロッポニカ作品として公開されました。ロッポニカ路線としては唯一の時代劇作品であり、にっかつ自体も10年ぶりの時代劇映画制作となりました。

主演は『キャバレー日記』に続き竹井みどりが務め、ロマンポルノ経験者やアクション映画路線期のバイプレイヤーが脇を固めるなど、シネロッポニカ路線の低予算体制が色濃く反映されたキャスティングとなっています。

あらすじ

物語の舞台は、十一代将軍・徳川家斉の時代。武士が武功によって家を興す時代は過去のものとなり、家柄よりも将軍の愛妾を輩出することが出世の近道となっていました。中野清茂は、正栄山仏性寺の僧侶・日啓の娘であるお美代の美貌に目をつけ、養女として屋敷に引き取ります。お美代は清茂に恋心を抱きますが、清茂の真の目的は、お美代を大奥に上げ、将軍の寵愛を受けさせることでした。

清茂のために覚悟を決めたお美代は、大奥入りし、やがて側室の一人となります。その頃、藤乃という側室が最も将軍の寵愛を受けていました。お美代は藤乃からの妨害を受けながらも、将軍に召される夜を増やしていきます。二人の争いは、藤乃が『お褥辞退』を迎える30歳になるまで続きました。

やがてお美代は懐妊しますが、大奥にはすでに多くの子がおり、妊娠はむしろ将軍から遠ざけられる理由にしかなりませんでした。案の定、清茂はすでにお美代に代わる側室候補として、新たな養女・おゆうを送り込んできます。お美代とは対照的に天真爛漫で少女のようなおゆうは、またたく間に将軍の寵愛を集め、大奥の女性たちからも受け入れられ、懐妊します。

居場所を失ったお美代は、清茂に女の戦から解放してほしいと懇願しますが、清茂は誇りを失ったお美代に幻滅し、突き放します。絶望したお美代は復讐を決意し、おゆうの飲み物に毒を盛り流産させます。さらに、自分の前に立ちはだかった花沢をも破滅させ、自害に追い込みます。

お美代は再び将軍の寵愛を取り戻し、生涯『お褥辞退』をすることなく将軍の側にあり続け、大奥では異例の権勢を誇ったとされています。

スタッフ

監督：関本郁夫
脚本：関本郁夫、高山由紀子、志村正浩
撮影：水野尾信正
音楽：津島利章

キャスト

お美代：竹井みどり
花沢：西川峰子
藤乃：吉原緑里
徳川家斉：成田三樹夫
中野清茂：夏八木勲
おゆう：川崎葉子


『徳川の女帝 大奥』は、大奥という特殊な世界を舞台に、女性たちの愛憎と権力闘争を描いた作品です。欲望と策略が渦巻く世界で、一人の女性がどのようにして権力を手に入れるのか、その過程をドラマチックに描き出しています。

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