徳川家霊廟

徳川家霊廟

徳川家霊廟は、江戸幕府を築いた徳川家の歴代将軍の墓所として、江戸（現在の東京）の寛永寺や増上寺、また栃木県の日光に位置しています。この霊廟は、日本の歴史において重要な役割を果たしており、特に日光東照宮と並ぶ美しい建築群として知られています。しかし、1945年の戦災によって、寛永寺と増上寺の多くの建物は焼失してしまいました。

徳川歴代将軍の霊廟の所在

霊廟は歴代の将軍に応じてさまざまな場所に分かれています。初代将軍の徳川家康は久能山と日光東照宮に祀られており、その壮麗な社殿は国宝にも指定されています。続いて、2代将軍秀忠は増上寺の台徳院霊廟に葬られたほか、正室の崇源院もここに祀られています。しかし、崇源院の霊屋は後に鎌倉の建長寺に移築されています。

3代の家光は輪王寺の大猷院に埋葬され、寛永寺でも法要が行われましたが、霊廟自体は1720年に焼失し、霊牌は他の場所に合祀されています。霊廟は、家光以降、4代から15代目の将軍まで各地に設けられましたが、吉宗の1710年には霊廟の建立を禁止し、その後の将軍たちは寛永寺や増上寺に合祀されるようになります。

現存する霊廟の建築

現在も残る霊廟建築としては、日光東照宮、輪王寺の大猷院霊廟、そして寛永寺の厳有院霊廟と常憲院霊廟があります。これらは国宝および重要文化財に指定されており、日光東照宮は世界遺産にも登録されています。厳有院と常憲院霊廟は1945年の空襲で多くが失われたものの、一部の重要な構造物は残り、文化財として保護されています。

増上寺においても、台徳院、崇源院、文昭院などの霊廟が存在しましたが、こちらも大部分が空襲で焼失しました。現在は一部の建造物が移築され、現存する霊廟跡地もホテルなどが建設されています。それらの霊廟に葬られていた遺骸は1958年に改葬され、新たな徳川家の墓所として移されています。

また、高野山には徳川家の菩提所もあり、文禄3年に家康が参詣した際、霊廟が建設されたことがきっかけで大徳院が設立されました。ここには家康と秀忠の霊廟があり、今も多くの位牌が祀られています。

まとめ

このように、徳川家霊廟は日本の歴史の重要な遺産であり、江戸時代の建築技術と文化を反映した貴重な施設です。その多くの部分が戦争によって消失してしまったものの、現在もなお歴史的価値を持っているといえるでしょう。霊廟や墓所の合祀を通じて、徳川家の歴史は長い間、日本の文化に影響を与え続けています。

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