徳永恂

徳永恂（とくなが まこと）について

基礎情報

徳永恂は1929年2月14日、埼玉県浦和市に誕生した日本の哲学者である。彼は大阪大学と大阪国際大学の名誉教授であり、専門はドイツ現代思想や社会思想史、さらにはユダヤ思想に及ぶ。特にフランクフルト学派の研究において第一人者として知られ、多くの学問的貢献を行っている。

幼少期と教育

徳永は、父親の転勤により鎌倉、横浜、長崎と移り住んだ。長崎中学を1945年に卒業後、第五高等学校に進学し、1948年に卒業。その後、東京大学文学部へ進む。1951年に卒業した後、1962年から1964年までドイツへ留学し、テオドール・アドルノに師事する。この経験が後の哲学的探求に大きな影響を与えたと言われている。さらに1976年からはイスラエルにも留学した。

学問的キャリア

帰国後、徳永は北海道大学文学部の助教授に就任した。後に大阪大学へと転籍し、同大学の人間科学部で教授としての役割を果たし、さらに学部長も務める。1992年には大阪大学を定年退官し、名誉教授として新たな道を歩むこととなった。その後、大阪国際大学法政経学部教授として教鞭を執り、学部長や図書館長も歴任する。「社会思想史学会」の代表幹事や「神戸ユダヤ文化研究会」の会長としても活躍した。

趣味と社会活動

徳永は、文学同人誌「匙」や「ブレーメン館」にも参加しており、文学活動を広げる一方で、関西棋院囲碁五段として囲碁の愛好家でもある。彼の趣味は幅広く、多岐にわたるが、特に知識を広める活動に注力し続けている。

受賞歴

1997年には『ヴェニスのゲットーにて』によって和辻哲郎文化賞を受賞している。この著作は反ユダヤ主義思想史の探求をテーマとしており、彼の研究が社会思想にどのような影響を与えたかを示す重要な証拠である。

家族について

徳永の家族には、彼の祖父である徳永規矩が伝道者であり、また医学者の兄、徳永徹が国立予防衛生研究所所長や福岡女学院院長を歴任するなど、優れた学問的背景を持つ一族である。

主な著作と業績

徳永恂の著作には、以下のようなものがある。

• - 『社会哲学の復権』（1968年、せりか書房）
• - 『ユートピアの論理 フランクフルト学派研究序説』（1974年、河出書房新社）
• - 『現代批判の哲学』（1979年、東京大学出版会）
• - 『ヴェニスのゲットーにて』（1997年、みすず書房）
• - 『現代思想の断層』（2009年、岩波新書）

また、彼は翻訳活動にも力を入れており、アドルノやマンハイム、ウェーバーの作品など多岐にわたる文献を翻訳している。これらの著作や翻訳を通じて、彼の学問的影響は広範囲に及んでいる。德永恂の独自の視点は、現代思想を理解する上で欠かせないものであり、多くの研究者にとっての啓蒙となっている。

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