徳美藩

徳美藩の概要と歴史

徳美藩（とくみはん）は、江戸時代の初期に甲斐国に存在した藩で、支配拠点の陣屋は山梨郡栗原筋三日市場村に位置していました。この藩は、武田家が滅んだ後、徳川家や浅野家による統治を経て、最終的には徳川家の支配下に置かれました。

徳川家による甲斐国の管理は、四奉行制や代官頭制度を通じて行われ、元和2年（1616年）9月には、次期将軍である徳川秀忠の次男、忠長が甲斐一国を受け継ぎます。この新たな支配体制のもと、寛永8年（1631年）には忠長が蟄居させられ、上野国高崎へと幽閉される結果となります。続く寛永9年（1632年）10月23日、甲府城が接収され、大久保忠成と水野忠善が甲府城番として任命されます。これにより、藩としての体制が整えられることになります。

寛永10年（1633年）2月には、武田家の遺臣である幕臣の伊丹康勝が、下総国相馬郡にあった9000石の所領に3000石を加増され、合計12000石の領地を持つ大名へと昇格します。彼は同時に甲府城番も担当し、徳美藩が正式に成立します。康勝は主に佐渡奉行や勘定頭など、さまざまな重要ポストを歴任しており、その実務は息子の勝長が担うことになります。

康勝が79歳で亡くなったのは承応2年（1653年）6月3日のことであり、家督は長男の勝長が引き継ぎました。しかし、寛文2年（1662年）3月27日には、勝長が江戸の役宅にて刺殺されるという悲劇が発生します。この事件後、勝長の長男である勝政が家督を継ぎます。勝政は甲斐黒川金山の開発に尽力し、近江水口城の防衛にも貢献しましたが、元禄4年（1691年）7月15日には、67歳でこの世を去ります。

その後、勝政の嫡男・勝守が藩主となりますが、元禄11年（1698年）9月には江戸城内で自死という不幸な出来事が起こります。この時の記録によれば、勝守は26歳で精神的に追い詰められ、自ら命を絶ったとされています。こうして徳美藩は第四代目をもって改易され、その領地は没収されることになりました。

その後、甲斐では康勝が隠居した寛永13年以降、年番制による統治が始まります。また、寛文元年（1661年）には甲府藩が設立され、新たな統治機構が形成されました。近代的な統治への移行が進む中、徳美藩の歴史は幕を閉じ、その影響はその他の藩にも見られることとなります。

歴代藩主の一覧

• - 伊丹家

- 康勝
- 勝長
- 勝政
- 勝守

このように、徳美藩は江戸時代の混沌とした時代を背景に、家族の運命を共にしながら、短い歴史を刻んでいったのです。

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