心のラヴ・ソング

ウイングス「心のラヴ・ソング」

「心のラヴ・ソング」（原題: Silly Love Songs）は、ポール・マッカートニー率いるウイングスが1976年に発表した楽曲であり、同曲を収録したシングルです。この曲は、ウイングスの5枚目のアルバム『スピード・オブ・サウンド』に収録されています。

制作の背景

この楽曲は、1975年9月から始まった「ウイングス・オーヴァー・ザ・ワールド・ツアー」の合間を縫って、1976年1月から2月にかけてロンドンのアビー・ロード・スタジオでレコーディングされました。

評論家のリチャード・ゴールドスタインに「ポールはバラードしか書けない」と批判されたことに対し、ポールが「馬鹿げたラヴ・ソングの何が悪い？」と反論する形で制作されたと言われています。このエピソードが、楽曲のタイトル「Silly Love Songs（馬鹿げた愛の歌）」に込められています。

独特なイントロは、ピンク・フロイドの「マネー」のテープループに触発されたとされています。また、日本では幼児番組『ひらけ!ポンキッキ』で頻繁に効果音として使用されていました。対位法を巧みに用いた楽曲であり、特に終盤では3つの異なる旋律が同時に歌われるという、非常に凝った構成になっています。

リリースとチャート成績

1976年4月1日にアメリカでアルバム『スピード・オブ・サウンド』からのファーストシングルとしてリリースされると、ビルボード誌では発売翌週の1976年4月10日に58位で初登場しました。その後、急速に順位を上げ、7週目の5月22日にはついに1位を獲得。翌週から2週にわたりダイアナ・ロスの「ラブ・ハングオーバー」にその座を譲るものの、6月12日には再び1位に返り咲き、4週連続、計5週間の1位を獲得しました。また、ビルボード誌1976年年間ランキングでは堂々の1位に輝きました。これは、ポールにとってビートルズ時代の「抱きしめたい」「ヘイ・ジュード」以来8年ぶり、ソロとしては初の快挙となりました。キャッシュボックス誌でも5月29日、6月5日の2週に渡って1位を獲得し、年間ランキングでは9位を記録しました。イギリスではチャート2位を記録しています。

その後

この楽曲は、コンピレーション・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』『オール・ザ・ベスト』『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜』に収録されたほか、『ウィングス・オーヴァー・アメリカ』にはライヴ版が、『ヤァ!ブロード・ストリート』には新しく録音されたものが収められています。

B面収録の「クック・オブ・ザ・ハウス」は、リンダ・マッカートニーがリード・ボーカルを担当しています。ポールが1975年11月のオーストラリア・ツアーで滞在していた家のキッチンで作ったオールドロックンロール調の曲で、曲の前後には実際にリンダが肉を焼いたり揚げ物をしたりなど調理している音が収録されています。

演奏者

ウイングス
[ポール・マッカートニー]] - バッキング・ボーカル、メロトロン、ピアノ]、リード・ボーカル、ベースギター、[[パーカッション、ストリングス指揮 (#1)、コントラバス (#2)
リンダ・マッカートニー - バッキング・ボーカル、タンバリン (#1)、リード・ボーカル (#2)
デニー・レイン - バッキング・ボーカル (#1,2)、ピアノ (#1)、エレクトリック・ギター (#2)
ジミー・マカロック - エレクトリック・ギター (#1)
ジョー・イングリッシュ - ドラムス (#1,2)、パーカッション (#2)
ゲスト
ハウイー・ケイシー - サクソフォーン
タデウス・リチャード - サクソフォーン
スティーブ・ハワード - トランペット
トニー・ドーシー - トロンボーン (#1,2)、ストリングス・アレンジ (#2)

カバー

西城秀樹：1976年11月3日の日本武道館での第2回コンサート「ヒデキ・イン・武道館」にてカバー。その模様は『HIDEKI LIVE'76』に収録されている。また、1978年2月14日の日比谷公会堂でのバレンタイン・コンサート・スペシャル「西城秀樹 愛を歌う」でも披露。『バレンタインコンサート・スペシャル/[[西城秀樹 愛を歌う|バレンタインコンサート・スペシャル_西城秀樹 愛を歌う]]』に収録されている。

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