必殺! 三味線屋・勇次

映画『必殺! 三味線屋・勇次』の概要

『必殺! 三味線屋・勇次』は、1999年に松竹京都映画株式会社、グランプリ、ミュージアム（現・オールインエンタテインメント）によって製作され、松竹株式会社が配給した映画である。この作品は「新・必殺仕事人」の登場人物である三味線屋・勇次を主人公とし、必殺シリーズの一環として制作されている。監督は石原興が務めた。

この映画は、シリーズの中でも『必殺始末人』以来2年ぶりの劇場公開作品となる。当初の公開は小規模なものであったが、松竹の他の映画の制作遅れに伴い、全国公開へと規模が拡大された。また、必殺の名を冠する映画としては『必殺! 主水死す』以来3年ぶりの作品となる。初期のタイトルは『必殺三味線屋勇次 闇の糸』であったが、公開決定時に改題されることとなった。

本作は、本来中条きよしがプロデュースした新しいテレビシリーズの企画の流れを汲んでおり、中条はテレビ版にも関わっていたが、当時の経営上の問題もあり、映画版としての製作が実現した。また、藤田まことが特別出演として参加し、過去作からのキャラクターである伝兵衛を演じている。藤田のキャラクターは元々、異なる殺し道具を用いる設定であったが、撮影直前に変更され、最終的に実行されなかった過去の設定もあった。

あらすじ

物語は、ある媚薬の副作用によって命を落とした者の家族が製作元へ復讐を果たそうとするところから始まる。三味線屋の勇次は、弥助と共に悪に立ち向かう仕事人としての運命を背負っている。彼らが戦う相手、富喜屋は新たな被害者を生み出しており、物語は過去の因縁が交差する複雑な展開を見せる。

勇次たちは、夜明かし屋台の主人であるおとよと、彼女の失踪した過去を知りつつも、勇気を持って問題に立ち向かう。才能ある若者、才蔵は勇次と弥助の助けを借りて、上総屋の娘に導かれつつも運命に翻弄される。その中で、これまでの経緯と父親の死の真相に迫ることになる。仲間たちとの絆、そして復讐の巧妙さが描かれ、最後には待ち受ける悲劇に繋がる。

キャスト

この映画には、以下のキャストが名を連ねている。三味線屋の勇次を演じる中条きよしを筆頭に、髪結いの弥助役を阿部寛、屋台「夜明かし」の主人おとよを天海祐希が演じている。また、伝兵衛役の藤田まことは特別出演であり、物語に深みを加えている。

音楽と制作

本作の音楽は平尾昌晃や長部正和が担当し、物語をより引き立てる役割を果たしている。さらに、撮影技師の藤原三郎や、編集の園井弘一など、スタッフの協力によって作品が成り立っている。

総括

『必殺! 三味線屋・勇次』は、復讐と悲劇を軸に、個々のキャラクターが持つ独特な背景が際立つ作品である。勇次の姿を通じて人間の弱さや絆の強さが描かれ、シリーズのファンにも新たな問いかけをする内容となっている。興行としては苦戦したものの、多くの要素が組み込まれた作品であり、必殺シリーズとしての位置づけを与えられた作品である。

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