必殺仕事人III

必殺仕事人III

『必殺仕事人III』（ひっさつしごとにんスリー）は、1982年10月8日から1983年7月1日までテレビ朝日系で放送された時代劇で、全38話の制作が行われました。このシリーズは、朝日放送と松竹の共同製作で、主役には藤田まことが起用されています。『必殺シリーズ』の第19作目であり、『必殺仕事人』シリーズとしては第3弾、また中村主水シリーズとしては第9作となります。

概要

本作は先行する『新・必殺仕事人』の続編として位置づけられ、物語は引き続き仕事人たちの活動を描いています。前作での解散は一時的であり、本作の第1話では彼らが再び集結している様子が描かれます。この続編は、放送に先立って行われた特番『必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合』からの流れを受け継いでおり、特番内で再始動のきっかけとなる出来事が演出されたため、視聴者にはスムーズに受け入れられました。

本作では、藤田まこと演じる中村主水や、三田村邦彦演じる秀、中条きよし演じる勇次、鮎川いずみ演じる加代、山田五十鈴演じるおりくなど、前作のキャストがそのまま登場します。特筆すべきは、新たに加わった異色のキャラクター、西順之助です。彼を演じたのは、当時ジャニーズ事務所に所属していた若手アイドル、ひかる一平です。順之助は受験生としての背景を持ち、仕事人となることに憧れを抱きながらも、経験不足のために様々な葛藤を抱えるキャラクターでした。

順之助は、若者らしい理想主義で「世直しのため」という理由で仕事に参加しようとしますが、実情は未熟であり、しばしば塾の試験勉強を優先して仕事を休む姿が描かれました。このような彼への主水たちの厳しい態度は、作品におけるユーモアを生み出しつつも、成長を促す役割も果たしていました。また、順之助の存在は、作品全体をより明るいトーンへと導く一方で、時には深刻な状況を引き起こす要因ともなりました。

あらすじ

物語は、『仕事人大集合』の大仕事をきっかけに再集結した中村主水、秀、勇次、加代、おりくの仕事人たちから始まります。ある晩、彼らは殺しの現場を目撃されてしまい、その目撃者が受験生の西順之助でした。仲間を守るために順之助を始末しようとする主水たちですが、彼の憧れの言葉に心が揺れることになります。結局、彼の命を助けることになり、その後、仕事人への仲間入りを志願しますが、初めは受け入れられません。

それでも、順之助はあきらめずに仲間として受け入れられ、共に仕事を遂行することになります。物語が進むにつれ、順之助は仕事の厳しさや失った者の痛みを実感し、成長していきます。特に彼の大切な人が標的となった際、仕事人としての責任を痛感する展開は、彼にとっての苦悩を強調しています。最終的には、仲間と共に闇に立ち向かいながらそれぞれの人生を選択し、チームは解散へと向かうことになります。

登場人物一覧

• - 中村主水（藤田まこと）: 南町奉行の定町廻り同心。仕事人としての真剣さと厳しさを併せ持ち、成長する順之助を見守る。
• - 秀（三田村邦彦）: 装飾職人としての知恵を活かしつつ、時には手厳しい言葉で順之助を諭す。
• - 加代（鮎川いずみ）: 若い順之助をサポートしながらも、その性格は少し意地っ張り。
• - 西順之助（ひかる一平）: 理想を抱きながらも現実に苦しむ受験生仕事人。
• - 勇次（中条きよし）、おりく（山田五十鈴）: 各々の役割を持ち、仕事人たちの人生に影響を与える人物。

スタッフ・制作情報

このシリーズの制作には、朝日放送の山内久司がプロデューサーとして関与し、脚本は数多くの作家によって手がけられ、音楽も充実した内容になっています。また、主題歌「冬の花」は大ヒットを記録し、作品全体の人気を支えました。

本作は、必殺シリーズの中でも重要な位置を占める作品であり、様々なキャラクターの成長や葛藤を通じて、娯楽性と深みを持つ作品として多くの視聴者に愛されました。

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