忍城とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

忍城：水攻めにも屈しなかった不落の名城

歴史と沿革

忍城は、現在の埼玉県行田市に位置する平城で、その歴史は室町時代中期にまで遡ります。文明年間、成田氏によって築城されたと伝えられ、北を利根川、南を荒川に挟まれた扇状地の地形を巧みに利用した構造が特徴です。広大な沼地と自然堤防が天然の要害となり、数々の攻城戦を退けてきました。

戦国時代から安土桃山時代

1478年頃、成田正等・顕泰父子がこの地を支配していた扇谷上杉家から独立し、忍城を築城したとされています。翌年には扇谷上杉家による攻撃を受けますが、太田道灌の仲介により和解。その後、成田氏がこの地を領有しました。戦国時代には、関東七名城の一つに数えられ、その堅固さは広く知られていました。

1590年、豊臣秀吉による小田原征伐の際、忍城は豊臣軍による水攻めに遭います。石田三成を総大将とする豊臣軍は、総延長28kmにも及ぶ巨大な石田堤を築き、利根川の水を城に引き込もうとしました。しかし、忍城は水攻めに耐え抜き、落城することはありませんでした。このことから、「浮き城」または「亀城」と呼ばれるようになったと伝えられています。

江戸時代

徳川家康の関東入府後、忍城は徳川氏の四男、松平忠吉が配置され、忍藩の藩庁となりました。その後、老中阿部忠秋が城主となると、城の拡張整備が行われ、城郭の整備とともに城下町も発展しました。特に江戸時代後期には足袋の産地として有名になりました。

明治時代から現代

明治維新後、廃藩置県により忍城は廃城となり、多くの建物が取り壊されました。しかし、城跡は公園として整備され、市民の憩いの場となっています。1988年には、本丸跡に郷土博物館が開館し、御三階櫓も復元されました。この櫓は、博物館の一部として、展望室や展示室として活用されています。2017年には、「続日本100名城」に選定され、その歴史的価値が改めて評価されています。

城の構造

忍城は、湿地帯を利用した平城です。沼地に点在する島を曲輪として、橋を架けて連結するという独特な構造を持ちます。当初は、本丸に櫓を設けず、二の丸を住居として利用していました。この構造が、守りやすく攻めにくい城としての特性を生み出しました。現在、水城公園として整備されている場所には、当時の沼地の名残が見られます。

現存する遺構

現在、忍城の遺構として移築されたものがいくつか現存しています。北谷門は加須市の總願寺に、高麗門形式の城門は郷土博物館の駐車場脇に、藩校進修館の門は郷土博物館の南側にそれぞれ移築されています。また、本丸の土塁も当時の姿を伝えています。

忍城時代祭り

毎年11月の第2日曜日には、「行田商工祭・忍城時代祭り」が開催されます。この祭りでは、武者行列や火縄銃演武が行われるほか、近年ではB級グルメ大会も開催され、多くの観光客で賑わいます。

現地情報

所在地

埼玉県行田市本丸17-23

交通アクセス

- 公共交通機関：

- 路線バス「忍城」または「忍城址・郷土博物館前」停留所下車
- 秩父鉄道行田市駅またはJR高崎線吹上駅よりバスまたは徒歩

- 自家用車：

- 埼玉県道128号熊谷羽生線沿い

忍城を舞台とした作品

小説

- 『笄堀』（山本周五郎）
- 『水の城いまだ落城せず』（風野真知雄）
- 『風来忍法帖』（山田風太郎）
- 『のぼうの城』（和田竜）
- 『紅蓮の狼』（宮本昌孝）

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