輪かんじき

輪かんじき（わかんじき）とは

輪かんじきは、雪の上を沈まずに歩くための日本の伝統的な履物で、雪国で生活する人々の知恵から生まれた道具です。別名「ワカン」や「雪輪」とも呼ばれます。主に山間部で利用され、雪深い場所や傾斜のきつい場所での歩行を助けます。伝統的な製法では木材を曲げて作られますが、近年ではより軽量で耐久性に優れたアルミニウム製のものも普及しています。

輪かんじきの構造と種類

輪かんじきには、大きく分けて単輪式と双輪式の2種類があります。単輪式のものは「雪輪」と呼ばれることが多く、双輪式のものが一般的に「かんじき」として認識されています。いずれも靴の上から装着することで、雪に足が深く沈み込むのを防ぎ、雪上での安定した歩行を可能にします。

木製の輪かんじきは、アブラチャンやクロモジなどの木の枝を熱して柔らかくし、U字状に曲げて乾燥させて作られます。2つを組み合わせることで片足分の輪かんじきが完成します。金属製の輪かんじきは、軽量で耐久性が高く、現代の登山や雪上アクティビティで広く利用されています。どちらのタイプも、雪面を捉えるための大きな爪が両サイドについており、雪上でのグリップ力を高めています。固定方法は、伝統的な縄で縛り付ける方法から、金属製の製品ではナイロンテープと金具を使用する方式へと変化しています。

歴史と日本の利用

輪かんじきの歴史は古く、富[[山県]]の芦峅寺では1200年の歴史があると伝えられています。かつては、冬山で狩猟をする人々が移動手段として利用していました。その後、登山愛好家の間でも重宝されるようになり、1950年代の登山ブームをきっかけに全国で販売されるようになりました。また、1956年の第1次南極地域観測隊では、芦峅寺出身の隊員が輪かんじきを使用したことで、その名が広く知られるようになりました。

かつて、登山ではスキーで登れるところまで登り、そこから先は輪かんじきに履き替えて山頂を目指すのが一般的でした。現在では、自家用車やバス、林道などを利用して登山口までアクセスすることが多くなっています。

スノーシューとの違い

輪かんじきとよく比較されるものに、欧米で使われるスノーシューがあります。スノーシューは輪かんじきに比べて縦長で、比較的傾斜の緩やかな場所での利用に適しています。一方、輪かんじきはより急な斜面や深い雪の中での安定した歩行をサポートします。このように、地形や雪質によって使い分けられています。

輪かんじきの現状と未来

かつて、芦峅寺では冬場の内職として輪かんじきを作る職人がいましたが、金属製の普及や高齢化により、その数は減少しました。2010年代には最後の一人となった職人が引退しましたが、その技術を継承したいという熱意を持った若者が現れ、伝統の技が受け継がれています。輪かんじきは、日本の雪国の生活文化を象徴する大切な道具であり、これからもその技術と文化が継承されていくことが期待されます。

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