志布志国家石油備蓄基地

志布志国家石油備蓄基地について

志布志国家石油備蓄基地は、鹿児島県肝属郡東串良町と肝付町にまたがる、柏原海岸沖の志布志湾を埋め立てて造成された人工島に位置する石油備蓄基地です。この基地は、日本のエネルギー安全保障において重要な役割を担っています。

概要

約196ヘクタールの広大な敷地には、43基の巨大な原油タンクが立ち並び、国内消費量で約9日分に相当する大量の原油が備蓄されています。この基地は、かつては志布志石油備蓄株式会社が管理・所有していましたが、2004年に国家石油備蓄の直轄事業化に伴い、国に移管されました。現在は、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が所有し、志布志石油備蓄が操業業務を受託しています。

この基地の構想は1960年代に遡ります。当初は3600ヘクタールという広大な面積に、1000万キロリットルの石油備蓄に加え、石油化学コンプレックス、造船、鉄鋼などの総合工業地帯を建設する壮大な計画がありました。しかし、地元住民の反対運動などにより計画は大幅に縮小され、現在の規模となりました。

沿革

1984年9月：石油公団が志布志湾地区に国家石油備蓄基地の立地を決定し、志布志石油備蓄株式会社が設立されました。
1988年10月：第1期埋立工事が完了しました。
1989年7月：第2期埋立工事が完了しました。
1989年9月：志布志石油備蓄株式会社志布志事業所が開所しました。
1992年8月：第1工区（原油タンク20基）が完成しました。
1992年9月：第1工区の操業が開始されました。
1993年12月：第2工区（原油タンク23基）が完成し、全面操業が開始されました。
2000年11月：シーバース能力が増強され、30万トン級タンカーの接岸が可能になりました。
2004年2月：直轄事業化に伴い、基地施設が国と石油公団に移管されました。

施設と設備

基地は、約1.5km四方の人工島で構成され、陸地とは柏原大橋で接続されています。敷地内は機能的に配置されており、西側には管理棟と緑地、中央部には原油タンク、そして東側には排水処理施設や窒素製造設備などのプラントが配置されています。原油タンクは地上タンク方式で、南側が第一工区（20基）、北側が第二工区（23基）となっています。

原油の受入設備としては、南東の海上約1.4km沖合に、30万トン級の原油タンカーが接岸できるシーバースが1基（ローディングアーム3基）設置されています。タンカーから基地へ原油を移送するための海底配管も敷設されています。

万が一の原油流出事故や火災事故に備え、消防船や大型化学消防車などの防災設備も充実しています。また、敷地内は緑化されており、クロマツなど約6万本が植栽されています。

備蓄容量とタンク情報

備蓄容量: 5,028,000キロリットル（設備容量5,000,000キロリットル）
原油タンク: 43基（シングルデッキ型屋根構造、直径83.3m、高さ22-24m）
110,000キロリットル×12基
116,000キロリットル×5基
121,000キロリットル×26基
船舶: 5隻（消防船、油回収船、オイルフェンス展張船、警戒船、貯油バージ）
消防車: 5台（大型化学消防車、大型高所放水車、泡原液搬送車、甲種普通化学消防車2台）

まとめ

志布志国家石油備蓄基地は、日本のエネルギー安全保障を支える重要な施設です。巨大な原油タンク群は圧巻であり、その存在は国民生活に欠かせないものとなっています。今後も、安定的なエネルギー供給のため、その役割はますます重要になるでしょう。

外部リンク

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 - 志布志国家石油備蓄基地
志布志石油備蓄株式会社

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