志貴皇子

志貴皇子について

志貴皇子（しきのみこ、668年? - 霊亀2年8月9日（716年8月30日））は、日本の飛鳥時代末期から奈良時代初期にかけての皇族です。彼は天智天皇の第7皇子であり、皇族の中でも特に文化人としての人生を全うしました。

志貴皇子は、その生涯の中で皇位に就くことはありませんでしたが、息子の白壁王が第49代光仁天皇として即位したことで、皇室の歴史に名を刻むこととなりました。今日の皇室は彼の男系子孫にあたります。

経歴

志貴皇子の人生は、政治的な争いから距離を置き、文化的な活動に情熱を注いだものでした。天武天皇8年（679年）、天武天皇が吉野を訪れた際、皇位継承に関する争いを避けるための「吉野の盟約」が結ばれました。この盟約には当時の諸皇子が参加しましたが、志貴皇子はその後、特別な地位を得ることはありませんでした。

その後、彼は持統天皇の時代にも重用されることはなく、官職としては撰善言司に任命された程度でした。しかし、文武天皇の時代に入ると、大宝元年（701年）に位階が四品に昇進し、その後も少しずつ昇進を果たしました。具体的には、和銅元年（708年）には三品、和銅8年（715年）には二品となり、晩年においてもその地位を確保しました。

志貴皇子は霊亀2年（716年）に薨去し、彼の死後50年以上経った宝亀元年（770年）に息子である白壁王が光仁天皇として即位しました。ここで、志貴皇子は春日宮御宇天皇として追尊を受けることになりました。

文化活動

志貴皇子はその歌人としての才能を発揮し、『万葉集』には彼の作品が6首収められています。彼の和歌は、清らかで自然を愛でる視点が表現されており、繊細な美しさが魅力の名歌とされています。以下に彼の代表的な和歌を紹介します：

• - 「石ばしる 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも」
• - 「神なびの 石瀬の杜の ほととぎす 毛無の岡に いつか来鳴かむ」

他にも、彼は『新古今和歌集』などの勅撰[[和歌集]]にも多くの作品が選ばれ、後世にその名を残しています。

家族と子孫

志貴皇子は、越道君伊羅都売を母に持ち、天武天皇の皇女である託基皇女を妃としました。彼に生まれた子供たちも歴史に名を刻むことになります。特に、白壁王は後に光仁天皇として即位し、皇統の継承に寄与しました。彼の子孫は現代の皇族にまで続いています。

志貴皇子は、文化人としての豊かな人生を送りながら、天智天皇系の皇族として名を残しました。彼の優れた和歌とともに、文化に生きた彼の姿は、今も多くの人々に愛されています。

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