志賀の陣

志賀の陣について

志賀の陣は、元亀元年（1570年）9月から12月にかけて発生した、織田信長と浅井長政、朝倉義景、比叡山延暦寺の兵との戦闘です。この戦いは、信長の上洛と室町幕府再興を目指す中、彼の領土拡張政策が引き起こしたものといえます。また、この時期に反織田勢力として六角義賢が動いたことにも触れます。

経緯

永禄11年（1568年）、織田信長が上洛し、足利義昭を将軍に立てることで幕府を再興しましたが、出発点となったのは信長と朝倉義景との対立です。元亀元年の春に信長は越前に侵攻しましたが、義弟である浅井長政が義景側についたため撤退を余儀なくされました。しかし、その後の6月28日には姉川の戦いで浅井・朝倉連合に対して勝利を収めました。

8月になると、信長は摂津の三好三人衆の挙兵に対応するため出陣し、戦況は緊張を増しました。ところが9月14日に石山本願寺法主顕如が蜂起し、信長は摂津戦線に留まることになりました。この動きに呼応する形で、浅井と朝倉が信長を押し出そうとする志賀の陣が始まりました。

戦闘経過

坂本の戦い

志賀の陣の初戦は坂本において行われ、織田方の重要拠点宇佐山城は森可成が守っていました。9月16日、可成は浅井・朝倉軍との小規模な戦闘で勝利を収めました。しかし、19日になると延暦寺の僧兵たちが加わることで状況が変わり、可成たちは奮戦するも20日に討死することとなります。

その後、宇佐山城は連合軍に攻撃されるも、可成の部下たちによって防衛が続けられました。

織田軍の転進と比叡山籠城

信長は宇佐山城の防衛線を破り、連合軍の軍勢が京都に迫る事態を憂慮し、摂津戦線から撤退を決断します。9月23日、信長は京都に撤退し、浅井と朝倉軍は比叡山に籠城します。信長は比叡山を包囲しましたが、延暦寺が連合側についたことで包囲戦は長引くことになります。

長引く包囲戦

信長の包囲が続く中、他の反織田勢力も活発に行動を開始し、六角義賢や一向宗門徒たちが挙兵しました。信長は内容が進展しない状況を打開するため、決着を急ぐも義景側は降伏する気配を見せませんでした。信長の弟たちや有力家臣を失う結果となり、反織田勢力は各地で支配権を拡大します。

講和

11月末、両軍の疲弊が続く中、講和が模索され、12月13日に今度は朝廷の仲介によって義景が信長との講和に合意します。この結果、志賀の陣は終了し、双方とも直接的な大きな利を得られないまま帰国することになりました。

結果と影響

信長は領地の防御には成功したものの、主要な目標を遂行できず、多くの武将を失います。義景側も同様に目的を果たせず、戦後は各地で反信長の動きが活発になりました。最終的に、延暦寺の行動が後の比叡山焼き討ちへとつながり、また六角氏の衰退もこの戦いの影響によるものとされています。この戦いは、信長が反信長勢力と向き合う必要性を痛感させる重要な契機となったのです。

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