志麻いづみ

志麻いづみは、1953年東京都生まれの女優である。本名は石田恵子。白川望美、白川恵美といった芸名を経て、1977年に現在の芸名に落ち着いた。

1974年、大学在学中に日本舞踊の花柳流の名取りとなり、女優としてキャリアをスタートさせる。当初は小野恵子という芸名を使用していたが、同姓同名の女優が既に存在したため、すぐに改名したと推測される。デビュー当時の出演作については情報が不足している。

転機が訪れたのは1977年。日活撮影所の近くでスカウトされ、日活専属女優となる。同時に、志麻いづみへの改名が行われた。以後、日活ロマンポルノを中心に活躍。彼女の持ち味は、日本舞踊の経験を生かした優雅な和装姿と、落ち着いた雰囲気を漂わせる人妻役だった。

特に、団鬼六原作作品への出演が多く、その独特の世界観に深みを与えた。当時、ロマンポルノ界では豊満な体型の女優が主流だったが、志麻いづみは細身の体型で、緊縛シーンも痛々しさを感じさせるほど繊細な演技を見せた。これは、当時のロマンポルノ界では珍しい存在感だったと言えるだろう。

さらに、サディスト役での助演も数多くこなしており、S＆M両役を演じ分けるという幅広い演技力も持ち合わせていた。高倉美貴、真咲乱といった「SMの女王」と称された女優たちの活躍の中間に位置し、数々の主演作にも抜擢されている。

1975年から1988年にかけて、多数の映画に出演。代表作には『東京チャタレー夫人』（1977年）、『団鬼六 花嫁人形』（1979年）、『団鬼六 縄炎夫人』（1980年）などがある。ロマンポルノ以外にも、『帰って来た女必殺拳』（1975年）、『春琴抄』（1976年）、『仕掛人梅安』（1981年）、『泪橋』（1983年）、『ビッグマグナム 黒岩先生』（1985年）といった作品にも出演し、幅広い役柄に挑戦している。

テレビドラマへの出演も多数あり、『秘密戦隊ゴレンジャー』（1975年～1977年）、『太陽にほえろ!』（1975年）、『大都会シリーズ』（1976年～1979年）、『必殺シリーズ』（1979年、1982年）、『熱中時代 刑事編』（1979年）、『西部警察』（1981年）、『火曜サスペンス劇場』（1981年、1982年）、『ザ・ハングマンシリーズ』（1982年、1985年）など、数多くの作品に脇役として出演している。

また、『連続テレビ小説 おしん』（1983年）にも出演するなど、その活躍は多岐にわたった。さらに、週刊誌のグラビアにも登場し、女優としての幅を広げていた。

現在は引退し、建設会社の社長夫人として生活している。ロマンポルノ全盛期の時代を彩った個性的な女優として、その名は今も記憶されている。

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