忠臣蔵 花の巻・雪の巻

『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』の概要

『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』（ちゅうしんぐら はなのまき・ゆきのまき）は、日本の歴史に残る代表的な作品であり、同名の映画がこれまで二度制作されています。1954年に松竹が公開した作品と、その後1962年に東宝が製作した作品です。両作では八代目松本幸四郎が大石内蔵助を演じていますが、脚本や制作陣は全く異なります。これにより、同じ題材でありながら、異なる視点や解釈が呈示されています。

1954年版松竹制作

1954年10月17日に公開された松竹版は、監督を大曾根辰夫が務め、主演には八代目松本幸四郎が起用されました。この作品はモノクロでスタンダード形式、上映時間は188分に及びます。本作は、戦後初めて『忠臣蔵』を題材にした映画として公開され、配収はおおよそ2億9064万円に達しました。この額は1954年度邦画配収ランキングで第2位に輝く素晴らしい成績です。

大曾根辰夫監督は、過去に時代劇を専門とした作品を多数手掛けており、特にこの作品は松竹の時代劇を代表する重要な作品となります。映画史上の豪華大作として誉れ高く、公開当初は第1部（花の巻）104分、第2部（雪の巻）137分、合計241分（4時間1分）の長大な映画とされていましたが、後年のDVD化において188分とされ、現存する忠臣蔵映画の中でも最も長尺の作品とされています。

1962年版東宝制作

次の1962年版は、東宝が手掛けた作品で、11月3日に公開されました。この版も八代目松本幸四郎が主演に立ち、監督は稲垣浩が担当しました。カラーで東宝スコープ形式、上映時間は207分です。この作品は、東宝創立30周年を記念して制作され、文化庁芸術祭にも参加しています。配収は約2億8010万円であり、その年の邦画配収ランキングでも第8位に位置しました。

この1962年版においては、原節子や横山運平の最後の映画出演作でもあり、豪華なキャストを揃えて描かれました。特に討ち入り場面には著名な作曲家、伊福部昭による音楽が使用され、SF交響ファンタジー第1番の旋律が取り入れられています。さらに、オランダ人が登場するシーンではハモンドオルガンを利用するなど、他の作品に比べて更に実験的な要素がみられます。

まとめ

このように、両映画は同じ題材を描きながらも、異なるアプローチを持った作品となっています。松竹と東宝、それぞれの時代や背景に基づいた作品作りが印象的であり、観る者に異なる感動や理解を提供しています。『忠臣蔵』という日本の歴史物語の魅力を再確認できる機会として、両作品は非常に価値あるものと言えるでしょう。

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