横山運平

横山運平：日本映画界のパイオニア

横山運平（1881年-1967年）は、日本の映画史にその名を刻む重要な人物です。滋賀県彦根市出身の彼は、日本最初の劇映画『ピストル強盗清水定吉』（1899年）に出演し、日本映画俳優の草分け的存在となりました。本名は横山弥太郎。

早期経歴と映画への転身

幼少期から舞台に魅せられた横山は、12歳で新派劇の角藤定憲一座に入団し、子役としてキャリアをスタートさせます。その後、東京の「赤坂演技座」で書生芝居に出演するなど、舞台俳優としての経験を積みました。1899年、運命の出会いが訪れます。駒田好洋の「日本率先活動写真会」が日本で初めて活動写真の製作を開始したのです。三越写真部の柴田恒吉と共に製作された『ピストル強盗清水定吉』で警官役を演じた横山は、日本の映画俳優第1号という栄誉を手にしました。

多彩な活動と日活時代

その後、関西を拠点に新派劇の一座を転々とした後、1912年に吉沢商店目黒撮影所に入社。日本活動写真株式会社の設立にも参加し、数々の新派劇を題材とした活動写真に出演しました。1922年、田中栄三監督の『京屋襟店』に出演。完成試写会後、日活を退社し、国際活映巣鴨撮影所に移籍します。しかし、1923年の国活崩壊によりマキノ映画製作所へ。ここで『超現代人』など多くの作品で主演を務めました。マキノ映画製作所が東亜キネマに吸収合併された後は、帝国キネマ芦屋撮影所を経て、東邦映画製作所へ。東邦映画の解散後は東亜キネマ甲陽撮影所と転々とするなど、激動の時代を駆け抜けていきます。

名脇役としての活躍と晩年

1929年、日活に復帰した横山は、名脇役として活躍。1937年には東宝映画に移籍し、戦後は新東宝、日活と所属を移しながらも、老け役として数多くの作品に出演し続けました。63年に及ぶ俳優人生で、320本以上の作品に出演したと伝えられています。1962年、東宝の大作『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』への出演を最後に引退。同年、勲五等を受章しました。1967年、86歳で死去しました。

人物像とエピソード

「オヤジ」の愛称で親しまれた横山は、映画界最古参俳優として敬愛されていました。東宝1000本記念映画『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』では、監督の稲垣浩からの強い要望で出演。共演したフランキー堺の丁寧な挨拶に感銘を受けたエピソードは、彼の温かい人柄を伝えています。

膨大なフィルモグラフィ

彼のキャリアの広さを示すため、一部の作品を以下に列挙します。これは膨大な出演作のごく一部であり、彼の映画界への多大な貢献を示すものです。

ピストル強盗清水定吉 (1899)
苦学生 (1911)
悲劇百合子 前篇 (1913)
京屋襟店 (1922)
超現代人 (1924)
嘆きの村 (1924)
* 忠臣蔵 花の巻・雪の巻 (1962) …etc.

横山運平は、日本映画黎明期から活躍し、日本の映画界発展に大きく貢献した偉大な俳優でした。彼の生涯は、日本の映画史そのものを物語っています。

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