忠貞可汗

忠貞可汗（ちゅうていかがん）

忠貞可汗は、回鶻可汗国の第5代可汗で、在位期間は短かったものの、その生涯は劇的な出来事に満ちています。彼の名は多邏斯（タラス）といい、薬羅葛氏の出身です。父は第4代可汗の武義成功可汗であり、その跡を継いで可汗となりました。

生涯

武義成功可汗の息子として生まれた多邏斯は、父の死後、回鶻の指導者として擁立され、「泮官特勤」と号しました。唐は彼の即位を認め、忠貞可汗の称号を授けました。しかし、彼の治世は長くは続きませんでした。

790年4月、忠貞可汗は少可敦である葉公主によって毒殺されるという悲劇的な最期を遂げました。葉公主は、かつて唐に反乱を起こした僕固懐恩の息子である回鶻葉護の娘であり、政略結婚によって可汗の妻となっていました。

忠貞可汗の死後、彼の弟が可汗位を簒奪しましたが、すぐに国人によって殺害されました。その後、忠貞可汗の幼い息子である阿啜（アチュル？）が可汗に擁立され、奉誠可汗となりました。

家族

忠貞可汗には複数の妻と子供がいました。

可敦（カトゥン：皇后）
咸安公主：唐から降嫁した公主。
少可敦の葉公主：僕固懐恩の子の回鶻葉護の娘。後に忠貞可汗を毒殺。
子
阿啜（奉誠可汗）：幼くして可汗となった。

忠貞可汗の短い治世は、回鶻可汗国における権力闘争と、唐との複雑な関係を浮き彫りにしています。彼の死は、回鶻の歴史において大きな転換点となり、その後の可汗国の動向に大きな影響を与えました。

参考資料

『旧唐書』（本紀第十三 徳宗下、列伝第一百四十五 迴紇）
* 『新唐書』（列伝第一百四十二上 回鶻上）

もう一度検索