怒りの要塞

怒りの要塞 シリーズ

『怒りの要塞』（いかりのようさい）は、日本のゲーム開発会社K.K.DCEが手掛け、ゲームメーカーのジャレコから発売されたアクションシューティングゲームシリーズの総称です。ゲームボーイ向けに2作品、スーパーファミコン向けに1作品がリリースされています。

怒りの要塞（ゲームボーイ版 第1作）

シリーズの第1作として、1991年2月26日にゲームボーイ用ソフトとして登場しました。日本国外では『Fortified Zone』のタイトルで知られています。

ゲームシステム

本作は、真上から見下ろすトップビュー形式のアクションシューティングです。十字キー操作で上下左右の4方向へ移動し、攻撃も同じ4方向に行えます。プレイヤーはFIELD、JUNGLE、CAVE、FORTRESSという4つの異なるステージを進みます。ステージ内では、操作キャラクターを任意に切り替えながら探索を進め、最奥部に待ち受けるボスを倒せばクリアとなります。

便利な機能としてオートマッピングが搭載されており、一度足を踏み入れた場所は自動的にマップに記録されます。進行を阻むドアは、エリア内の敵を全て排除するか、特定のカギアイテムを使用することで開く仕組みです。ゲーム途中からの再開にはパスワードシステムが利用できました。

また、通信ケーブルを用いた2人同時プレイにも対応しており、協力してゲームを進めることが可能でした。2人プレイ時には、獲得したアイテムをプレイヤー間で受け渡しすることもできましたが、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソール版ではこの同時プレイ機能は利用できません。

アイテム

ステージ内には様々な効果を持つアイテムが登場します。

パワーアップアイテム: プレイヤーの攻撃力や体力を強化します。「P」で攻撃力2倍、「S」で射程距離延長、「UP」で体力最大値が増加し同時に全回復します。これらは取得したキャラクターにのみ効果が適用されます。
MASATO専用特殊武器: MASATOのみが使用できる強力な武器群です。弾数に制限があり、ゼロになると使えなくなります。マシンガン（3連弾）、「3-WAY」（前方3方向弾）、手榴弾（範囲攻撃）、火炎放射器（連続ダメージ、障害物貫通）などが存在します。説明書に記載のない、最終ステージで手に入る高威力の名称不明アイテムもありました。
ストック可能アイテム: 複数所持できるアイテムです。「薬」は体力を全回復させ、最大8個までストック可能。体力が尽きた際に自動使用されるほか、ストックがある状態でもう一方のキャラクターの体力がゼロになった際に使用することで復活させられます（2人同時プレイ時）。「カギ」は特定の白いドアを開けるのに必要で、入手後にドアに触れると自動的に使用されます。「特殊武器弾丸」は特殊武器の弾数を最大まで回復させ、弾切れ時に自動使用されます。

地形

ステージ内にはプレイヤーの進行に影響を与える地形があります。トゲ（触れるとダメージ、ミズキはジャンプで回避可能）、穴（落下してもダメージなし、下の階へ移動、ミズキはジャンプで回避可能、進行に必須の穴もある）、コンベアー（上に乗ると自動で移動、トゲと組み合わされている場合が多い）などです。

ストーリー

敵組織が重要な拠点に巨大な要塞を築き、その内部で強力な秘密兵器を開発しているとの情報が入ります。これを阻止するため、秘密工作員であるマサト・カンザキとミズキ・マキムラの二人が要塞内部に潜入し、秘密兵器と要塞を破壊する作戦が実行に移されます。

プレイヤーキャラクター

プレイヤーはマサト・カンザキとミズキ・マキムラのどちらかを操作できます。キャラクターはいつでも切り替え可能ですが、それぞれ個別の体力を持っています。体力が尽きたキャラクターは、アイテムの「薬」を使用するまで操作不能となります。両方のキャラクターの体力が尽きるとゲームオーバーです。

MASATO KANZAKI: 男性工作員。重火器の扱いに長け、単独で戦車部隊を壊滅させた経歴を持つベテランです。動きは遅めですが、ゲーム中に手に入る様々な特殊武器を扱え、通常攻撃の連射性能もミズキより優れています。
MIZUKI MAKIMURA: 女性工作員。俊敏な動きと優れた情報処理能力を兼ね備えています。マサトと異なり特殊武器は使用できませんが、移動速度が速く、ジャンプアクションが可能です。ジャンプを利用してトゲや穴といった地形を飛び越えることができます。

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは23点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票企画「ゲーム通信簿」では18.54点（30点満点中）を獲得しました。

怒りの要塞2（ゲームボーイ版 第2作）

シリーズ第2弾として、1992年2月21日に発売されました。前作の基本的なシステムを踏襲しつつも、様々な点で変更が加えられています。LABORATORY、FACTORY、SHELTER、FORTRESSの4ステージ構成で、前作同様に2人同時プレイに対応しています。

ストーリーは前作で任務を成功させたマサトとミズキが、再び敵の開発中の最終兵器を破壊するため新たな任務に就く、という前作の直接的な続編です。ただし、パッケージや説明書に描かれた二人のイラストのタッチは前作から大きく変化しています。

前作からの主な変更点

移動および攻撃の方向が、上下左右の4方向から斜めを含めた8方向に対応しました。
MASATO専用だった特殊武器が廃止され、関連アイテムも削除されました。
両キャラクターとも、セレクトボタンで複数の通常武器を切り替えて使用できるようになりました。
武器の弾数制限が無くなり、特殊武器弾丸アイテムも無くなりました。
パワーアップアイテムが廃止されました。
薬アイテムをストックすることができなくなりました。
ステージクリア時にキャラクターの体力が全回復するようになりました（前作では回復なし）。
体力が尽きたキャラクターは、ステージをクリアするまで復活できなくなりました（前作は薬で復活可能）。
2人同時プレイ時のアイテム受け渡し機能が廃止されました。
2人同時プレイで、どちらか一方のキャラクターの体力が尽きた時点でゲームオーバーとなる仕様に変更されました。

武器およびアイテム

セレクトボタンで切り替え可能な3種類の武器が登場します。

武器: マシンガン（最速連射、オート連射対応）、3-WAY（前方3方向への散弾、手動連射）、グレネード（高威力・広範囲攻撃、手動単発、特定の壁や床を破壊可能）があります。
アイテム: カギ（特定のドアを開ける、ストック可能）、薬（取得したキャラクターの体力を全回復、ストック不可）が登場します。

地形

前作と同様にトゲ（ミズキはジャンプ回避）、穴（落下、ミズキはジャンプ回避、進行に必須、グレネードで出現する場合あり）、コンベアー（自動移動）などの地形が存在します。

プレイヤーキャラクター

前作に引き続きマサトとミズキが登場し、ステージ中に切り替え可能です。

MASATO KANZAKI: 前作同様、動きは遅くジャンプもできませんが、体力が多く打たれ強いという特徴を持ちます。
MIZUKI MAKIMURA: 前作に比べて動きが素早くジャンプも可能です。今作ではマサトと同様に様々な武器を使用できるようになりましたが、マサトよりも体力が低めです。

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは21点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票企画「ゲーム通信簿」では18.6点（30点満点中）を獲得しました。

怒りの要塞（スーパーファミコン版）

シリーズの第3弾として、1993年4月23日にスーパーファミコンで発売されました。この作品の正式名称もゲームボーイ版第1作と同じ『怒りの要塞』ですが、区別のために『怒りの要塞 (SFC)』と呼ばれることが多いです。日本国外でのタイトルは『Operation Logic Bomb』。2012年10月30日からは、レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」でも配信されています。

ゲームシステム

ゲームボーイ版シリーズからプラットフォームを変更し、基本的なゲームプレイは共通していますが、いくつかの新要素が追加されました。LまたはRボタンを押すことで、キャラクターの向きを固定したまま移動できるようになり、特定の方向を向きながらの回避や移動が容易になりました。また、ゲームボーイ版第1作に存在した特殊武器（本作では特殊兵器と呼称）が復活しています。

プレイヤーキャラクターは、ゲームボーイ版の二人からHIROという新たな主人公に変更されました。敵も人間ではなく、「亜空間生物」と呼ばれる存在になっています。プレイヤーが一人になったため、キャラクター切り替えや2人同時プレイ機能は削除されました。ゲームボーボーイ版にあったカギや薬といったアイテム、トゲや穴といった地形、パスワードシステムなども廃止されています。ライフがゼロになりゲームオーバーになっても、3回までコンティニューが可能です。

武器

通常兵器と特殊兵器があり、いずれも使用回数に制限はありません。通常兵器はAボタンで選択、Bボタンで使用。特殊兵器はXボタンで選択、Yボタンで使用します。

通常兵器: 初期装備のマシンガン（前方連射）と3-WAY（3方向弾）、途中入手の反射レーザー（壁反射）、火炎放射器（近距離高威力、障害物沿い攻撃）、隠し武器のミサイル（ホーミング、高威力）があります。通常兵器は全てボタン長押しでオート連射に対応しています。
特殊兵器: 途中入手の指向性地雷（設置方向へ高威力爆発）、デコイ（ホログラムで敵の注意を引く）があります。

装置

ステージ内には攻略の鍵となる様々な装置が登場します。

空間転移装置: 亜空間と現実世界を結ぶ装置で、亜空間生物が転送機開発スタッフに作らせたものです。これを破壊することがゲームの主要目的の一つです。破壊すると、周辺の「亜空間接点」と呼ばれる水色の地帯が消滅し、エリア内の敵も全滅します。
コンソール: 研究所内の端末で、ランプが点灯しているものを調べることで、エリアマップの入手、ライフ回復、記録映像の閲覧などが可能です。敵を全滅させることで機能が回復する場合もあります。
転送機: 研究所内の移動手段として設置されている近距離物質転送装置です。点灯しているものに乗ることでエリア間を移動できます。空間転移装置の破壊などによって機能が回復する場合もあります。
名称不明アイテム: ゲーム終盤で入手することで、プレイヤーの色が変化し、敵空間である亜空間へ移動できるようになるアイテムです。

ストーリー

次元物理学の急速な進歩により確立された物質転送理論の実験施設から突如連絡が途絶します。国防軍は精鋭部隊や偵察機を派遣しますが、全て消息を絶ってしまいます。事態を重く見た国防軍は、強化手術により超人的な能力を得た最強の戦士、コードネーム「HIRO」を施設へ単独潜入させることを決定します。要塞化したかのような不気味な施設で起こった異変の謎を解き、敵空間と化した世界を修復することがHIROの任務となります。

プレイヤーキャラクター

HIRO: 本作の主人公であり、コードネームです。優れた兵士でしたが、強化手術によって人間離れした戦闘能力と情報解析能力を持つに至りました。赤い耐弾・耐熱スーツを着用し、神経系統が電脳化されているため施設内のコンソールに直接アクセスし情報収集・分析が可能です。

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは23点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票企画「ゲーム通信簿」では18.19点（30点満点中）を獲得しました。

もう一度検索