思想局

思想局の概要

思想局（しそうきょく）は、戦前の日本において文部省の内部部局として設立された組織であり、その前身は学生部でした。この局は、特に第一次世界大戦後、国内で深刻化した社会問題や思想問題に対処するために設立されました。

設立の背景

戦後の恐慌や海外からの社会主義・民主主義の思想の影響が相まって、日本国内ではさまざまな社会問題が顕在化しました。こうした背景の中で、1928年10月30日に文部省内部に専門学務局が設置され、その下に学生課が新設されました。学生課は、各大学や高校、専門学校の運営にあたり、学生や生徒の思想問題に対する指導を行う役割を担いました。

学生部の発展

翌1929年7月には学生課を強化して学生部とし、調査課も追加されました。これにより、より専門的な思想問題への対応が可能となりました。1931年には学生思想問題調査委員会が設立され、その翌年には国民精神文化研究所も設置されました。この機関は国民の精神文化について研究し、普及活動を行う役割がありました。

思想局の設立とその役割

1934年6月1日、学生部は改組されて思想局が設立されました。この局内には思想課と調査課が設けられ、思想課は学校や社会教育団体における思想上の指導や監督を担当しました。調査課は思想上の調査に関するさまざまな業務を扱うことで、思想対策の強化を図りました。特に、内外における社会思想の調査や思想指導図書の刊行が行われました。

教学局への移行

1937年には、教学刷新評議会の答申を受けて文部省の外局として教学局が設置され、思想課はその企画部の一部として改組されました。これにより、思想に関する業務がさらに文部省の枠組みの中で整理されることとなりました。

歴代の局長

思想局やその前身における局長は以下の通りです。

• - 文部省学生部長

- 木村正義: 1929年7月1日 - 1929年10月9日
- 伊東延吉: 1929年10月9日 - 1934年5月31日

• - 文部省思想局長

- 伊東延吉: 1934年6月1日 - 1936年6月9日
- 伊東延吉 (兼): 1936年6月9日 - 1937年6月7日
- 阿原謙蔵: 1937年6月7日 - 1937年7月20日（廃局）

このように思想局は戦前の日本において、思想問題に特化した機関として重要な役割を果たしました。文部省の内外における思想の動向を把握し、国民に対する思想の指導を強化することを目的としていました。

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