恋、いちばんめ

概要

アイドルグループ「ukka」にとって、それまでのグループ名「桜エビ〜ず」から改名して初めてリリースされたシングルCDが、本作『恋、いちばんめ』です。2020年6月24日に発表され、桜エビ〜ず時代からの通算では5枚目のシングルCDにあたります。

本シングルは、共通の表題曲に加え、それぞれ異なるカップリング曲を収録した「ver.A」と「ver.B」の2つの形態で展開されました。各形態には、ファンにとって嬉しい特典として、全7種類のオリジナルトレーディングカードがランダムで1枚封入されています。

販売チャネルは、スターダストストアの公式サイトに加え、全国展開するタワーレコードやHMVの複数店舗で行われました。特に、一部のタワーレコード店舗では一般販売に先駆けて先行販売も実施され、注目を集めました。

受賞歴

本作は、その収録楽曲が各方面で高く評価されています。中でも、権威ある「アイドル楽曲大賞」では顕著な成績を収めました。第9回アイドル楽曲大賞2020のインディーズ/地方アイドル楽曲部門において、表題曲である「恋、いちばんめ」が見事第1位に輝きました。さらに、ver.Aに収録のカップリング曲「時間。光り輝く螺旋の球。」も同部門で第6位を獲得し、単一シングルから複数の楽曲がトップ10入りする快挙となりました。また、ver.Bに収録されている「can't go back summer」は、桜エビ〜ず時代の楽曲ながら、前年の第8回アイドル楽曲大賞同部門で12位にランクインしています。

アートワーク

本シングルのビジュアルイメージは、アートディレクターのQ-TA氏が手がけました。特に印象的なメインビジュアルでメンバーが着用している衣装は、ウィメンズブランド「CHERIE」のデザイナー、繁田明希氏によってデザインされたものです。この衣装には、ukkaとして新たに羽ばたくグループの「羽化したばかりの透明感」と、メンバー一人ひとりの「少し大人に成長した姿」を表現するというコンセプトが込められており、繁田氏自身もその意図を語っています。

収録曲

『恋、いちばんめ』シングルには、表題曲に加えて各形態にそれぞれ異なるカップリング曲が収録されています。

恋、いちばんめ

本シングルのタイトルを冠する楽曲であり、ukka改名後、最初に発表された重要な一曲です。作詞はMICO氏（SHE IS SUMMER）とヤマモトショウ氏が共作し、作曲はヤマモトショウ氏、編曲は宮野弦士氏が担当しました。楽曲の世界観を表現する振付は、さとみ氏が手がけています。

この楽曲は、シングルのCDリリースに先駆け、2020年5月6日から各種音楽配信サービスで先行配信されました。ファンの前での初めてのパフォーマンスは、同年6月21日にオンライン形式で開催された「ONLINE YATSUI FESTIVAL! 2020」でのことでした。

楽曲の制作に携わったヤマモトショウ氏は「この曲で一番めに思い描いたことがすべて実現できた、最高にかわいい恋の歌になった」とコメントしています。また、他のアーティストへの歌詞提供が初めてだったというMICO氏は、「春の日のように、これから何かが芽吹いていくような、少しのことで壊れてしまいそうな繊細なラブソング」と楽曲を説明しています。サウンド面では、従来のukkaの楽曲とは異なり、ブラックミュージックの色合いが濃く出ており、特に1970年代のソウルミュージックを彷彿とさせるような雰囲気が特徴です。

本楽曲のミュージックビデオ（MV）は、森岡千織氏（クラウディ）が監督を務めました。MVは、メンバーが一つ屋根の下で共同生活を送るような温かい描写を中心に、ファンへの感謝や愛情を伝えるメッセージや、ukkaとして新たに“羽化”していくメンバーの姿が丁寧に描かれています。森岡監督は、MVの中に桜エビ〜ず時代の様々なMVへのセルフオマージュを多数盛り込んでいることを明かし、ファンがそれらのオマージュシーンを探して楽しんでくれることを願っているとコメントしています。

メディアからの評価も高く、TBSラジオの番組『アフター6ジャンクション』における企画「RHYMESTER宇多丸のマブ論2020年アイドル的ソング」では、この「恋、いちばんめ」が第4位に選出されました。

ウノ-ウノ

ver.Aに収録されたカップリング曲で、読み方は「うのうの」です。作詞、作曲、編曲のすべてをONIGAWARAが担当し、振付は竹中夏海氏が手がけました。

2020年7月23日に配信が開始され、同日行われた「ukka 1st streaming live 2020」で初めてライブ披露されました。

楽曲タイトルが示す通り、世界中で親しまれているカードゲーム「UNO」をテーマにした遊び心溢れる一曲です。歌詞の中には「ドロー4」「リバース」「スキップ」など、UNOに関連するワードが散りばめられています。メンバーの芹澤もあ氏は、ライブ中にこの曲を紹介する際、振付にもUNOの要素が盛り込まれていること、そしてゲームの展開が楽曲に反映されていることを明かしました。なお、ONIGAWARAはukkaに「それは月曜日の9時のように」も提供しています。

音楽家であるBase Ball Bearの小出祐介氏が選定する「アイドルソングベスト2020 インディーズ編」では、この「ウノ-ウノ」が第3位にランクインしました。

Poppin’love!!!

ver.Bに収録されたカップリング曲です。作詞、作曲、編曲はCLARABELL氏が担当し、振付はU-SK氏が手がけました。

この曲は、「ウノ-ウノ」や「時間。光り輝く螺旋の球。」と同様に、2020年7月23日に配信が開始され、同日のストリーミングライブで初披露されました。

歌詞では、まだ子供のような無邪気さと、少しずつ大人へと近づく中で芽生える複雑な恋心が描かれています。サウンド面では、フューチャーハウスやトラップといった近年の音楽トレンドの要素を取り入れつつも、キャッチーでポップな仕上がりとなっています。

時間。光り輝く螺旋の球。

ver.Aに収録されたカップリング曲で、「とき ひかりかがやくらせんのたま」と読みます。ファンの間では略して「ときたま」とも呼ばれています。作詞・編曲は杉浦英治氏、作曲は藤田卓也氏が担当しました。楽曲の振付は、ukkaの元メンバーである水春氏が手がけたものです。

この曲も2020年7月23日に配信・初披露されました。

サウンドの特徴としては、ハウスやテクノといったダンスミュージックのアプローチが採り入れられており、本作の収録曲の中では比較的、翳りのある、内省的な雰囲気をまとった作品となっています。作詞・編曲の杉浦氏は過去にukkaへ「Magik Melody」などを、作曲の藤田氏は「まわるまわるまわる」「さいしょのさいしょ」などを提供しています。

本楽曲は、先に述べたように第9回アイドル楽曲大賞のインディーズ/地方アイドル楽曲部門で第6位を受賞し、表題曲と共に評価を得ました。

can't go back summer

ver.Bに収録されているカップリング曲で、厳密には本シングル発売より前の、桜エビ〜ず時代（2019年11月16日にukkaへ改名）に最後に発表された楽曲です。作詞はヤマモトショウ氏、作曲は永塚健登氏、編曲はONIGAWARA、振付はさとみ氏が担当しました。

2019年10月3日に配信が開始され、CDシングルとしてリリースされる前に、同年8月21日に開催された桜エビ〜ずのリリースイベントですでにライブ初披露されていました。ジャケットなどのアートワークは内山ユニコ氏が手がけています。

夏の終わり、過ぎ去る季節への感傷を歌ったラップチューンであり、歌詞には渋谷、恵比寿、目黒川、「246」（青山通り/国道246号線）といった東京の具体的な地名が登場し、夏の夕暮れ時の情景をリアルに描き出しています。

音楽評論家の宗像明将氏は、この曲におけるメンバーのラップについて、「ラップとしての技術的な『うまさ』を目指すというより、メンバーそれぞれのキュートさを引き立てている点が素晴らしい。これはアイドルラップの最も美しい形と言えるだろう」と高く評価しています。また、プロインタビュアーの吉田豪氏も、桜エビ〜ず（現ukka）の楽曲群を高く評価する中で、この「can't go back summer」を特に「個人的に一番好きな曲」の一つとして挙げています。

Base Ball Bearの小出祐介氏も、自身が選ぶ「アイドルソングベスト2019 インディーズ編」の10位にこの曲を選出するなど、業界内でも注目を集めた楽曲です。

クレジット

本作の制作には、以下のメンバーおよび多くのクリエイター、スタッフが携わりました。

• - ukkaメンバー: 水春、川瀬あやめ、村星りじゅ、茜空、桜井美里、芹澤もあ
• - アートディレクション＆デザイン: Q-TA
• - 写真: 大村悠一郎
• - スタイリング: 繁田明希（CHERIE）
• - ヘアメイク: 飛田卓司、チエ（KIND）
• - サウンドプロデュース: オーノカズナリ
• - レコーディング＆ミキシングエンジニア: 兼重哲也（「恋、いちばんめ」）、前田健介（その他の楽曲）
• - マスタリングエンジニア: 及川康宏

その他、スターダストプロモーションおよびSDRの多くのスタッフが制作・運営に関わっています。

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