恋するリベラーチェ

映画『恋するリベラーチェ』の概要

『恋するリベラーチェ』（原題: Behind the Candelabra）は、スティーヴン・ソダーバーグ監督による2013年のアメリカドラマ映画です。この作品は、1950年代から1980年代にかけて、世界的な名声を誇ったピアニスト、リベラーチェの晩年を描いています。物語の元となったのは、彼の元恋人であるスコット・ソーソンによる回想録『Behind the Candelabra: My Life With Liberace』で、愛情、創造性、そして悲劇が交錯する熟練のドラマとなっています。

2013年5月21日には、カンヌ国際映画祭で初上映され、そこでパルム・ドールにノミネートされました。続いて、アメリカでは同年5月26日にHBOで放送され、イギリスでは6月7日に劇場公開が行われました。監督のソダーバーグは、この映画を制作した後、しばらくの間監督職を休業する意向を示していました。また、本作は、2012年に亡くなった作曲家マーヴィン・ハムリッシュが手がけた最後の映画音楽でもあります。

キャスト

映画『恋するリベラーチェ』には、数々のスターが出演しています。主役のリベラーチェ役を演じるのはマイケル・ダグラスで、彼の恋人ソーソン役にはマット・デイモンがキャスティングされています。その他にも、ダン・エイクロイドやデビー・レイノルズ、ロブ・ロウなど名だたる俳優陣が集まっています。特にマイケル・ダグラスの演技は高く評価されており、主演男優賞を受賞するなど、存在感を示しました。

制作の背景

スティーヴン・ソダーバーグは、2000年に映画『トラフィック』を製作している際に、マイケル・ダグラスにリベラーチェの映画のアイデアを話したのがこのプロジェクトの始まりです。その後、2008年にはスコット・ソーソンの回想録を基にした脚本が進められ、同年9月に正式に発表されています。

しかし、製作過程では資金調達に難航することもありました。ハリウッドのスタジオ側からは「あまりにも同性愛的」という理由での拒否もあったため、制作は困難を極めました。とはいえ、ダグラスとダイモンは出演を辞退することなく、最終的にはHBOフィルムズがプロジェクトを引き受け、2012年に2300万ドルの予算で撮影が行われました。

映画の評価

映画の完成後、批評家たちからの反応は概ね好評でした。Rotten Tomatoesでは、92件のレビューが投稿され、支持率は95%、平均点は8.2点（10点満点中）という高評価を獲得しています。また、Metacriticでも30件のレビューで82点の加重平均値を記録しました。

特に『ガーディアン』のピーター・ブラッドショーは、4つ星を付け「ブラックコメディとしても、セレブの孤独を描いたドラマとしても非常に優れた出来で、ダグラスとデイモンの演技は素晴らしい」と称賛しました。一方で『ワシントン・ポスト』のハンク・スチュエヴァーは、内容の薄さを指摘し、物語が陰鬱に感じられると批判しました。

受賞歴とノミネート

『恋するリベラーチェ』は、多くの賞にもノミネートされ、いくつかの部門で受賞を果たしました。特に第66回カンヌ国際映画祭では、リベラーチェのペットであるプードル「ベビー・ボーイ」がパルム・ドッグ賞を受賞。また、プライムタイム・エミー賞では、作品賞を含む15部門にノミネートされ、11部門で受賞を果たしました。

この映画は、リベラーチェという複雑なキャラクターと彼の愛の物語を描くことで、多くのファンを魅了しました。愛、悲劇、そして人間の深い感情が交差する『恋するリベラーチェ』は、20世紀のエンターテインメント史において重要な作品となっています。

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