恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム

恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』（原題：Om Shanti Om）は、2007年にインドで公開されたヒンディー語映画です。ボリウッドを代表する振付師であり、映画監督としても活動するファラー・カーンの監督第2作にあたり、主演はインドが誇る大スター、シャー・ルク・カーンと、本作がヒンディー語映画デビューとなったディーピカー・パードゥコーンが務めています。

作品の成功と評価

本作は公開されるやいなや、インド国内で絶大な人気を博し、2007年の年間興行収入ランキングで第1位を獲得する大成功を収めました。インド映画らしい豪華絢爛なミュージカルシーン、感動的なストーリー、そしてスター俳優たちの魅力が融合し、観客を熱狂させました。

日本においては、2013年3月16日に劇場公開され、カルト的な人気を博しました。キャッチコピーである「何度生まれ変わっても、また君に恋をする」が示すように、輪廻転生をテーマにしたラブストーリーが多くの観客の心を掴みました。日本での公開初週には、ぴあが行った映画満足度調査で首位を獲得するなど、高い評価を得ています。また、上映中に観客が自由に踊ったり、声援を送ったりしながら楽しむ「マサラ上映」が各地で開催され、作品の持つエネルギーを体感できる特別な上映体験を提供しました。

ストーリー

舞台は、1970年代のインド映画界の中心地ボンベイ（現ムンバイ）。主人公のオーム・プラカーシュ・マッキージャは、スターを夢見るものの、なかなか芽が出ない脇役俳優です。彼の親友であるパップーもまた、共に俳優の道を志しています。

ある日、オームは撮影中の火災事故で窮地に陥っていた当時の人気絶頂の女優、シャンティプリヤを勇敢に救出します。この出来事をきっかけに二人は親しくなり、やがてオームはシャンティへの深い愛情を抱くようになります。しかし、シャンティには秘密がありました。彼女は冷酷な映画プロデューサー、ムケーシュ・メーラと密かに結婚していたのです。

シャンティは結婚の事実を公にしたいと願いますが、映画界での更なる成功を画策するムケーシュは、それが邪魔になると考え、恐ろしい計画を実行に移します。彼はシャンティを火災に見せかけて焼き殺そうとするのです。その場に偶然居合わせたオームは、愛するシャンティを助けようと炎の中に飛び込みますが、力及ばず、彼女と共に命を落としてしまいます。

それから30年の時が流れます。ボンベイの映画界では、若手俳優のオーム・カプールが彗星のごとく現れ、絶大な人気を博していました。そのオーム・カプールこそ、前世の記憶を持たないまま生まれ変わったオーム・プラカーシュだったのです。やがて、ムケーシュと再会したオーム・カプールの中に、前世の記憶と悲劇の真相が蘇り始めます。愛する人を奪われた怒りと、叶えられなかった愛の思いが、彼を復讐へと駆り立てていきます。輪廻転生を経て巡り合った運命の相手、そして宿敵との対決が、華麗なダンスとドラマチックな展開の中で描かれていきます。

主なキャスト・スタッフ

監督/振付: ファラー・カーン
製作: シャー・ルク・カーン、ガウリー・カーン
脚本: ファラー・カーン、ムスタク・シェイク
音楽: ヴィシャール・ダドラニ、シェーカル・ラヴジアニ
出演:
オーム・プラカーシュ・マッキージャ / オーム・カプール: シャー・ルク・カーン
シャンティプリヤ / サンディ: ディーピカー・パードゥコーン
ムケーシュ・メーラ: アルジュン・ラームパール
* パップー: シュレーヤス・タラプデー

受賞とノミネーション

本作は数々の映画賞で高く評価されました。国家映画賞では美術監督のサブー・シリルが美術監督賞を受賞。ディーピカー・パードゥコーンは、フィルムフェア賞やスター・スクリーン賞で新人女優賞を獲得し、その華々しいデビューを飾りました。また、ヴィシャール・ダドラニとシェーカル・ラヴジアニは、第2回アジア・フィルム・アワードで作曲賞を受賞しています。

主要部門では、フィルムフェア賞において、シャー・ルク・カーンが主演男優賞、ディーピカー・パードゥコーンが主演女優賞、シュレーヤス・タラプデーが助演男優賞、ファラー・カーンが監督賞、音楽担当が作曲賞にノミネートされたほか、ディーピカー・パードゥコーンは第2回アジア・フィルム・アワード主演女優賞にもノミネートされるなど、多くの部門で評価されました。

ソフト化

日本国内では、2013年9月27日にBlu-rayおよびDVDが発売されました。どちらも本編ディスクと特典ディスクの2枚組となっており、特典ディスクにはメイキング映像やNG集、削除シーンなどが約100分収録されています。

宝塚歌劇団による舞台化

2017年には、宝塚歌劇団によって舞台化されました。『オーム・シャンティ・オーム　－恋する輪廻－』と題されたこの公演は、星組により上演され、紅ゆずると綺咲愛里のトップコンビのお披露目前公演として注目を集めました。東京国際フォーラムでの上演後、梅田芸術劇場でも再演され、好評を博しました。特に、大阪公演初日には映画版監督のファラー・カーンが来日し、宝塚版のクオリティを高く評価したことでも話題となりました。

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』は、輪廻転生という普遍的なテーマを扱いながら、ボリウッドならではの華やかな歌とダンス、ドラマチックな展開、そして主演二人のカリスマ性によって、国境を越えて多くの人々を魅了し続けている作品です。

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