恋人 (タロット)

恋人のカード（The Lovers）

恋人のカードはタロットの大アルカナの第6番目に位置し、しばしば「恋人たち」という表現でも知られています。これは愛、選択、そして絆を象徴し、人間関係の深さや選択の重要性を示す意味を持っています。このカードの前は「教皇」、次は「戦車」であり、人生における様々な局面を結びつけています。

カードの意味

正位置の解釈

恋人のカードが正位置で出た場合、これは誘惑への挑戦、自信の獲得、価値観の明確化、情熱や共感を表すことが多いです。また、人と人との深いつながりや絆、結婚や長続きする関係の可能性を示唆しています。これらの意味合いは、自己の選択を重視し、愛を育む力を強調しています。

逆位置の解釈

一方で、逆位置の恋人のカードは誘惑に屈すること、不道徳な行為、失恋や人間関係の悪化を示す場合があります。無視や集中力の欠如、そして空虚感を伴った結婚生活の破綻も示唆されます。このように、逆位置は人間関係の危機や誤った選択を警告するものです。

カバラとの関連性

このカードはヘブライ文字「ザイン（ז）」に関連し、カバラの教えとも深い関わりがあります。また、「黄金の夜明け団」の秘密結社ではビナーとティファレトのセフィラと結びつける解釈も存在します。

占星術との関係

占星術においても、恋人のカードにはいくつかの説があります。金牛宮や双児宮、または金星や海王星といった天体が関与しているとされています。

寓画の解釈

初期のタロットカードによく見られるデザインでは、複数の男女が幸福そうに過ごす様子が描かれ、単純な恋愛を表現していたようです。特にマルセイユ版では、2人の女性が1人の男性の両側に位置し、その上にはキューピッドが描かれています。この配置は男女の関係の複雑さを示しており、2人の女性が異なる特性を持ちつつ男性への影響を及ぼしています。

一方で、アーサー・エドワード・ウェイトのタロット版では、男女が互いに対称を成す美しい姿で描かれています。アダムとイヴの物語が象徴的に表されています。このカードの背後には知恵の樹と生命の樹が描かれており、人間の選択や善悪の知識といったテーマが浮かび上がります。

物語とメッセージ

アダムとイヴの物語では、知恵の樹の実を食べてしまった結果、彼らは神の禁を破り、エデンの園から追放されるという経緯が描かれています。このエピソードは、タロットの恋人のカードの中に「選択」と「その結果」に対する警告を埋め込んでいます。恋愛や人間関係においても、慎重な選択が求められることを示しています。

このように恋人のカードは、多くの解釈とともに、愛や選択、そして人間関係の奥深さを反映するものとして非常に重要な意味を持つカードです。

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