恐怖の報酬 (1977年の映画)

映画『恐怖の報酬』の解説

概要

『恐怖の報酬』は、1977年に公開されたアメリカのサスペンス映画で、ウィリアム・フリードキンが監督を務めました。本作は、1953年のフランス映画『恐怖の報酬（Le Salaire de la peur）』をリメイクした作品です。主要キャストにはロイ・シャイダーやブリュノ・クレメールが名を連ねており、彼らの演技が物語の緊張感を一層引き立てています。原作の設定に加え、ジャングルの劣悪な環境や様々な困難が加味され、オリジナルに新たな緊迫感をもたらしている点が特徴です。

ストーリー

物語は南米の独裁政権下にある田舎町ポルベニールから始まります。この町は犯罪者や愚連隊が集う危険な場所です。ある日、ポルベニールから300マイル離れた油田で大規模な爆発事故が発生しました。消火のためには爆薬を運ぶ必要があり、石油会社が募集したのは、ニトログリセリンを運ぶ冒険者たちです。

主人公たちに選ばれたのは、それぞれ異なった背景を持つ4人の男たちです。アイリッシュギャングのドミンゲス（ロイ・シャイダー）、不正融資で追われるフランスの銀行家セラーノ（ブリュノ・クレメール）、ナチス残党狩りの殺し屋ニーロ（フランシスコ・ラバル）、そしてパレスチナ過激派の爆弾犯カッセム（アミドウ）。彼らは膨大な報酬を目当てに、二台のトラックでジャングルに挑む危険な旅へと出ます。

道中には、泥だらけの道や、崩れかけた吊り橋、大きな倒木、そして反政府ゲリラという想像を超えた様々な障害が待ち受けています。それでも彼らは、目的地にニトロを届けるために奮闘します。緊迫した展開が続く中で、彼らの友情や葛藤が徐々に浮き彫りになり、観る者をその世界に引き込んでいくのです。

キャストと制作

本作の吹替版は2019年にリリースされたオリジナル完全版に収録されていますが、通常版では吹替がありません。日本国内では北米以外の地域向けに30分がカットされたバージョンが上映され、作品タイトルも「Wages of Fear」と改題されました。フリードキン監督は複雑な権利関係の整理を経て、2013年に4Kデジタルリマスター版を制作し、ヴェネツィア国際映画祭で初めて公開されました。同年の日本での公開も記憶に新しいところです。

評価

『恐怖の報酬』は視覚的にも内容的にも高く評価されており、Rotten Tomatoesでは高評価が79%を占め、批評家たちからは「手に汗握る緊張感があり、常に予測不可能なスピードで進む」と評されています。Metacriticでは68点の評価を受けるなど、多くの評論家から支持を受けています。

結論

『恐怖の報酬』は、ただのサスペンス映画ではなく、運び手たちの人間ドラマや彼らの運命を描いた壮大な作品です。その緊張感あふれる展開は、多くの映画ファンにとって忘れがたいものとなっています。作品の魅力は、映像と音楽、演技が絶妙に絡み合い、視聴者を深く引き込みます。一度見てみる価値がある作品と言えるでしょう。

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