恐竜土偶

アカンバロの恐竜土偶：謎に包まれた古代の遺物

メキシコのアカンバロで発見されたとされる大量の土偶は、その中に恐竜を思わせる形状のものが含まれていることで有名です。これらの土偶は、1945年、ドイツ人実業家ワルデマール・ユルスルートによって発見されました。ユルスルートは、彼の所有する土地で、使用人に発掘を命じ、その結果、3万点以上もの土偶が発見されたとされています。

年代測定と論争

これらの土偶の年代を巡っては、様々な議論が巻き起こってきました。一部の研究者は、放射性炭素年代測定法や熱ルミネッセンス法を用いて、土偶が紀元前数千年前に作られたとする結果を発表しました。しかし、これらの測定は土偶の材料の年代を測定したものであり、土偶の制作年代そのものを直接的に示すものではないという批判もあります。

さらに、土偶の材料となる土に含まれる塩分が、長期間地下に埋まっていた遺物には通常見られるのに、アカンバロの土偶には見られないという指摘もなされています。これは、土偶が最近になって作られた可能性を示唆するものです。

捏造疑惑

考古学者チャールズ・ディ・ペソは、アカンバロ遺跡で未発掘とされていた場所で埋め戻しの跡を発見し、土偶はユルスルートとその使用人によって捏造されたものであると結論づけました。一方で、埋め戻しは発掘作業の一時的な中断によるものだったという反論もあります。ティナヘロという使用人の証言内容が食い違っていることも、この疑惑を複雑にしています。

恐竜と人類の共存？

恐竜土偶は、紀元前に恐竜の化石や爬虫類を観察して作られた、あるいは人類と恐竜が共存していたという説を唱える人々によって、オーパーツ（時代錯誤遺物）の証拠として挙げられることがあります。しかし、多くの土偶は、現在の科学的知見からは正しくない恐竜の姿を反映していたり、空想上の生き物としか考えられない形状のものも含まれています。そのため、これらが人類と恐竜の共存の証拠であると主張するのは、科学的な根拠に乏しいと言えるでしょう。

類似事例と結論

アカンバロの恐竜土偶と似たようなオーパーツとして、ペルーのカブレラ・ストーンが挙げられますが、これも捏造であることが明らかになっています。

アカンバロの恐竜土偶の起源と真偽については、現在もなお議論が続いています。科学的な分析と考古学的な調査に基づいて、客観的な事実関係を解明していくことが重要です。多くの証拠が、これらの土偶が現代において作られた可能性を示唆しており、オーパーツとして扱うには、より多くの信頼できる証拠が必要となるでしょう。最終的には、これらの土偶は、古代文明の謎ではなく、近代における創造物であるという可能性が高いと言えるでしょう。

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