カブレラ・ストーン

カブレラ・ストーン：謎めいた彫刻石と現代の解明

ペルーの医師、ハビエル・カブレラ氏が所有する1万5千点以上の彫刻石コレクション、カブレラ・ストーン（別名イカの石、ICAの模様石）は、長年に渡り謎に包まれてきました。これらの石には、恐竜と人間が共存しているかのような場面や、高度な科学技術を示唆するような模様が刻まれており、一部からは超古代文明の存在を示す証拠、いわゆるオーパーツとして注目を集めていました。

議論を呼んだ起源

カブレラ・ストーンは、その精巧な彫刻と、古いとされる風合いから、古代文明の遺物であると主張する人々が多く存在しました。しかし一方で、彫刻の精緻さや、地質学的分析から、古代のものではないという反論も根強くありました。特に、彫刻の鋭さが現代の技術で作られたものではないかという疑問が提示されていました。

現代の偽造との結論

カブレラ・ストーンの起源をめぐる議論は、イギリスのBBCによる取材をきっかけに終止符を打ちました。取材の中で、石の製作者が名乗り出たのです。これらの石は、現代の技術を用いて作られたものであり、歯科用のドリルで彫刻が施され、その後、靴墨を塗り、火であぶることで、古びた外観が演出されていたことが明らかになりました。

年代測定結果の解釈

カブレラ・ストーンを支持する人々は、石の表面の酸化度合いを根拠に、古代のものであると主張していました。しかし、火であぶる加工が行われていたことを考慮すると、酸化による年代測定では古い結果が出ることは当然です。この点は、支持者の主張の根拠を弱める重要な要素となっています。

カブレラ・ストーンが持つ意味

カブレラ・ストーンは、その起源に関する議論を通して、オーパーツや超古代文明といった、歴史や考古学に対する人々の関心の高さを示しています。同時に、科学的検証の重要性、そして証拠に基づいた議論の大切さを改めて認識させてくれる事例といえるでしょう。現代の技術によって作られたとはいえ、その精緻な彫刻技術は注目に値し、芸術的な視点からも高い評価を受けるべきでしょう。

まとめ

カブレラ・ストーンは、最初は超古代文明の証拠として注目を集め、激しい議論を巻き起こしましたが、最終的には現代の偽造であると結論づけられました。この事件は、考古学的発見や歴史的解釈において、科学的な検証と客観的な証拠に基づいた考察が不可欠であることを示しています。しかしながら、カブレラ・ストーンは、人々の想像力を刺激し、古代文明や未知の謎への探求心を掻き立てる、一つの象徴として存在し続けるでしょう。

参考文献

羽仁礼『超常現象大事典』成甲書房、2001年
朱鷺田祐介『超古代文明』玉川大学出版部、2005年
船井幸雄、佳川奈未『船井幸雄と佳川奈未の　超☆幸福論』ダイヤモンド社、2008年
ASIOS『謎解き古代文明』彩図社、2011年
並木伸一郎『超古代オーパーツ図鑑』学研パブリッシング、2014年
学研教育出版『失われた文明の大百科』学研教育出版、2014年
南山宏、並木伸一郎『ＵＦＯ超古代文明対談南山宏×並木伸一郎』学研プラス、2016年
「世紀の大発見」編集室『みんなが知りたい!「世紀の大発見」がわかる本』メイツユニバーサルコンテンツ、2020年
* 松岡信宏『世界のオカルト遺産 調べてきました』彩図社、2022年

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