恵山市

恵山市について

恵山市（ヘサンし、혜산市）は、朝鮮民主主義人民共和国の北部に位置している両江道の道都です。鴨緑江に面した町で、中国との国境を接しています。この鴨緑江の周辺では、河川が比較的狭く浅いため、密貿易が行われており、地元の生活水準が平壌よりも高いとされることもあります。しかし、2016年の情報によれば、電力不足の影響で、一般住宅で利用できる電気の時間は一日あたり2〜3時間に限られているとのことです。

地理・気候

恵山市は標高715メートルの恵山盆地の中心に位置しており、周囲は標高2,000メートル級の山々に囲まれています。この地域は朝鮮で特に寒冷な場所とされており、1915年には-42℃という極端な低温が記録されました。冬の1月の平均気温は-16.5℃に達し、厳しい寒さが続きます。

行政区画としては、東側に雲興郡、東北に普天郡、南に甲山郡、西に三水郡が隣接しており、北側は鴨緑江を挟んで中国吉林省の長白朝鮮族自治県があります。

行政区画

恵山市は25の洞と4の里を管轄しており、その行政区画は地域の発展や人口分布に大きな影響を与えています。

歴史

恵山市の歴史は古く、咸鏡道甲山郡の一部として、恵山鎮を中心に辺境防御のための砦が築かれていました。近年の重要な出来事には、1932年に恵山と長白を結ぶ国際橋の開通、1950年の朝鮮戦争中に米軍が入城したことが挙げられます。1967年には普天堡戦闘の30周年を記念して勝利記念塔が建設されました。

近代においては、恵山で大規模な列車事故が発生し数百人の死傷者が出たり、中国企業との共同開発が進められたりと、様々な経済活動が行われています。

交通

2010年代には平壌駅と恵山駅を結ぶ列車が運行されていましたが、電力不足や施設老朽化により多くの遅延や運行取消が発生しています。新型コロナウイルスの影響も相まって、現在は週に1本程度の運行にまで減少しています。

教育・文化

恵山市には師範大学、農林大学、恵山医科大学などの教育機関があり、地域の教育水準向上に貢献しています。また、観光名所としては掛弓亭があり、李氏朝鮮時代に建てられた城南門の門楼です。

メディア

地域のメディアには両江道放送や両江日報があり、恵山市の最新情報を提供しています。

まとめ

恵山市はその独自の地理、文化、歴史を有しながら、中国との国境に位置することで特異な経済背景を持っています。国境貿易が地域の発展に寄与する一方、電力の不足や気候の厳しさが課題となっています。この町の未来は、地域住民の生活向上に向けた取り組みや、国際的な関係の発展に左右されることでしょう。

もう一度検索