平壌駅

平壌駅（ピョンヤンえき）は、朝鮮民主主義人民共和国の首都、平壌市中区域駅前洞に所在する鉄道駅です。同国鉄道省が管轄しており、朝鮮半島北部における鉄道交通の要衝として極めて重要な役割を担っています。かつて日本統治時代には「へいじょうえき」と呼ばれていました。駅周辺は公共交通網が発達しており、平壌地下鉄の栄光駅や平壌市電1号線の停留所が近接しており、円滑な乗り換えが可能です。

概要

この駅は、朝鮮民主主義人民共和国における鉄道網の核を形成しており、朝鮮北半部で最大規模を誇るターミナル駅です。平壌駅を拠点として、国内主要都市へ向かう列車が運行されており、具体的には定州・新義州方面、南浦方面、沙里院・開城方面、妙香山方面、そして咸興・羅津方面の合計五つの主要な方角への列車が発着しています。さらに、中国やロシアといった隣国への直通国際列車も運行されています。中国の北京駅へ向かうK27/28次列車や、ロシアのモスクワ（ヤロスラフスキー駅）まで約一週間を要する長距離列車も当駅を起点・終点としています。

乗り入れ路線

平壌駅には以下の五つの鉄道路線が乗り入れています。

- 平南線（南浦方面）
- 平義線（京義線系統、新義州方面）
- 平釜線（京義線系統、開城方面）
- 平羅線（平元線系統、羅津方面）
- 平徳線（徳川方面）

ただし、全ての路線が完全に独立した線路を使用しているわけではなく、平羅線は間里駅まで平義線と線路を共用し、平徳線も大同江駅までは平釜線と線路を併用して運行されています。

歴史

平壌駅は、1906年 4月3日に京義線（ソウルと新義州を結ぶ路線）の全線開通に合わせて旅客営業を開始しました。その後、1908年 4月1日からは貨物・旅客双方の取り扱いが本格化しました。初代駅舎は木造の簡素な建物でしたが、日本統治時代に改築され、2階建ての洋風建築による二代目駅舎が建設されました。しかし、1950年に勃発した朝鮮戦争において、空襲により駅舎は破壊されてしまいました。現在の駅舎は戦後に再建された三代目にあたり、石造りの堅牢な構造となっています。

駅構造

駅は地上に位置しており、特徴的な外観を持っています。屋根の上には高さ47メートルに及ぶ八角形の時計塔が備わっており、全体としてスターリン様式と呼ばれる大規模な建築様式を採用しています。駅舎自体は地上3階、地下1階建てです。時計塔の直下は広々とした吹き抜けのエントランスホールとなっており、利用客を迎えます。ホールの1階壁面には列車の運行状況を表示する白黒テレビが設置されているほか、その上部には列車の発着時刻表が掲示されていますが、国際列車の時刻に関する情報は記載されていません。また、ホール内には案内所や郵便物の取り扱い窓口も設けられています。

改札口はエントランスホール北側の通路を進んだ先と、地下階の二箇所に設けられています。どちらの改札付近にも待合室が完備されていますが、地下の待合室は電力供給の状況によっては消灯している場合があるようです。切符を購入するための乗車券売り場は、駅舎本体の建物内ではなく、駅舎から南側に少し離れた別の建物内に位置しており、販売窓口はこの建物の2階に設けられています。

ホームは合計で5番線まで存在します。特に1番ホームは非常に幅広く設計されており、団体旅行客用の大型バスや専用車両が直接ホーム脇まで乗り入れることが可能です。このため、外国人観光客が利用する列車は多くの場合、1番線に発着します。ただし、中国からの団体観光客専用列車などは、1番線以外のホームに発着することもあります。

駅周辺

平壌駅は、旧来の中心市街地の南西端に位置しています。駅前から平壌の主要な通りである栄光通りが北東方向へ伸びており、市の中心部を縦断する勝利通りへと続いています。駅周辺には様々な商店やオフィスビル、集合住宅などが立ち並んでいます。また、駅は大同江にも近く、隣接する羊角橋を渡ることで、羊角島方面へのアクセスも可能です。

駅前広場は公共交通の結節点となっており、地下鉄の入口、路面電車やトロリーバスの停留場が設けられています。また、タクシーも常駐しています。

駅の東側（駅舎側）周辺には、駅前広場の他、地下鉄栄光駅、栄光通り、平壌高麗ホテル、平壌駅前百貨店、平壌医科大学とその病院、千里馬文化会館、朝鮮対外文化連絡協会、国際文化センター、金策工業総合大学など、多くの施設が集中しています。大同江や羊角島方面への接続もこちらの側からです。建設中のハムバッタホテルもこのエリアに位置しています。

駅の西側（駅裏側）周辺には、平壌印刷大学や未来科学者通りなどがあります。

もう一度検索