悪性自己愛

悪性自己愛（Malignant Narcissism）

悪性自己愛とは、ナルシシズム、反社会性パーソナリティ障害、攻撃性、さらにはサディズムの要素が強く絡みあった心理的な障害を指します。この症候群の特徴としては、誇大性が見られ、常に敵対的な態度を持つことが挙げられます。悪性自己愛者はその行動により、関与する組織や他人の人間性を損なうことが多く、その影響は甚大です。

歴史的背景

この用語は、1964年に社会心理学者エーリヒ・フロムによって初めて提唱されました。フロムは、悪性自己愛を悪のモデルとして位置づけ、この状態が持つ深刻さと破壊的な性質を強調しました。彼は、悪性自己愛をその持つ特性から、最も厳しい病理的状態として特徴づけました。

さらに、ハーバート・ロゼンフェルドは、悪性自己愛を自己愛性パーソナリティの一形態として扱い、性格における誇大性が攻撃性を際立たせるという見解を示しました。彼もまた、自己の破壊的側面を理想化するような性格を指摘しました。

その後、精神分析医オットー・カーンバーグはこの概念をさらに発展させ、反社会性パーソナリティは自己愛的で倫理性を欠く部分があるとの考えを示しました。彼は悪性自己愛がサディスティックな要素を含むことを明らかにし、加虐的な精神病質者を生む可能性があることを示唆しました。カーンバーグは1984年に、悪性自己愛を精神科的な診断名として取り入れることを提案しましたが、主要な医療マニュアルであるICD-10やDSM-5には受け入れられませんでした。

特徴と影響

悪性自己愛者は、自己愛性パーソナリティ障害（NPD）、反社会的特性、妄想的特徴、さらには自我を利益のために攻撃する傾向を持つことが多いです。彼らは良心が欠けていることが特徴であり、権力に対する強い欲求を持ち、自らが特別であるという誇大な感覚を持ち合わせています。

このような特性により、悪性自己愛者は周囲に計り知れない影響を及ぼすことがあります。他者は彼らとの関わりによって精神的、感情的なダメージを受けることがあり、それは対人関係の破壊や、コミュニティ全体における不和を引き起こすことにもつながります。

脚注と関連人物

悪性自己愛に関連する人物として、先に述べたフロムとロゼンフェルド、カーンバーグが挙げられます。これらの心理学者たちは、悪性自己愛の概念を発展させ、理解を深めてきました。

関連項目

悪性自己愛に関する関連項目には、自己愛、自己愛的怒り、自己愛性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、精神病質、誇大性などがあります。これらのテーマは、悪性自己愛の理解をより一層深めるために重要です。

外部リンク

• - Narcissism and co-morbidity with other disorders

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