誇大性

誇大性（こだいせい）とは

誇大性は、自己が他者よりも優れているという非現実的な感じを指します。この概念は特に自己愛性パーソナリティ障害や躁病の一部としてよく観察されます。誇大性を抱く人々は、他者を軽蔑し、劣等感や独自性を使って自分を特別な存在だと認識します。これは、特定の人々だけが理解できると思い込むことや、自分は特別であると考える信念によって強化されます。

誇大性とナルシシズム

ナルシシズムにおける病的誇大性は、自己愛性パーソナリティ障害の二つのサブタイプの一つで、もう一つのサブタイプは脆弱性に焦点を当てています。自己愛性と誇大性の両方は神経症的に強く関係しており、以下のような特徴を持ちます。これに該当する人は「忘れがちなナルシシスト」と呼ばれることが多いです。

• - 他者への影響についての認識が欠けている
• - 公然と自信を高めようとするが、根底に自尊心の不安が伺える
• - 自分の弱点を否認する傾向がある
• - 自分の地位や肩書きに対して非現実的な期待を持つ
• - 他者の期待が満たされない場合に怒りを示す
• - 自尊心を脅かす人物を軽蔑する
• - 誇大な幻想を提示する

誇大性に対する診断として、ナルシシズム診断インタビュー（DIN）の内容があり、ここでは誇大な自己認識や他者の評価の取り方が問われます。これにより、誇大性を持つ人は以下のように自己評価します。

• - 自身の才能や業績を非現実的に誇張する
• - 自分には脆弱性がないと信じている
• - 非常に壮大な想像を抱いている
• - 他者を必要としないという考えを持つ
• - 他者やプロジェクトを過度に評価し、格下げする傾向が見られる

躁病における誇大性

躁病における誇大性は、通常のナルシシズムよりもさらに活動的で積極的です。躁病の患者は、自分の将来の成果を高く評価し、個人的な資質を誇張します。非現実的な目標を持つことが多く、それらは実現に向けてしっかりとした計画に分解されることなく進行します。

サイコパシーにおける誇大性

サイコパスの研究では、Hareのサイコパシーチェックリスト（PCL-R）において、誇大という要素が特に重要視されています。このような特性を持つ人々は、自身の特別さや優越性を強調しがちです。

精神分析における誇大性

精神分析学者であるオットー・カーンバーグは、誇大な自己を特別性や理想的な親の幻想として捉えました。ハインツ・コフートもまた、誇大性は発達過程の一環であり、自己の誇大さと謙虚さが統合されない場合に病的になると述べています。コフートは、無秩序な誇大性に悩む患者には「寛容」での対応が推奨されており、現実的な自己と誇大な自己の再統合を望んでいます。

まとめ

誇大性は、様々な心理的障害や個人の特性として現れることがあり、その理解のためには多角的な視点が必要です。自己愛と脆弱性の相互作用を考慮し、治療やカウンセリングにおいて適切なアプローチが求められます。

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