悪狼

悪狼（あくろう）について

悪狼は、将棋の多様な駒の一つであり、特に大将棋や大大将棋、また摩訶大大将棋、泰将棋、大局将棋などの変則将棋に登場するユニークな存在です。本将棋には存在していませんが、その動きの特異性から注目されています。

駒の動き

悪狼の基本的な動きは、前方の三方向および真横の方向に進むことができるという点に特徴があります。しかし、後ろ三方には一切移動できないため、攻撃的な駒といえるでしょう。

大将棋における悪狼

大将棋では、悪狼が成ることで金将に変化し、その際には真後ろに1マス進む能力を得ます。悪狼は、成駒においては元の駒からの上位互換とされ、前方と横方向の移動能力を保持しながら、後ろへの動きが追加されます。大将棋では、この悪狼を含む6種類の駒のみが成ることで後方に移動できるようになり、残りの駒とは一線を画しています。ぜひ注目していただきたいのは、悪狼が成る前にはまだ横移動が可能であり、これは生駒の状態においても可能です。

大大将棋の悪狼

一方で、大大将棋の場合、悪狼は成ることができず、動きの幅が限られています。このため、特に戦術的な使い方が要求されます。成れない分、他の駒との連携や戦略がより重要になるでしょう。

摩訶大大将棋および泰将棋

摩訶大大将棋や泰将棋における悪狼は、成駒の奔狼に進化します。奔狼は、前方の三方向や真横に限らず、飛び越えずに限り何マスでも進むことができる能力を持ちます。ただし、後ろ三方の移動能力は変わらず持っていないため、その特異な動きに依存する形となります。これもまた戦略に新たな工夫が求められるポイントです。

大局将棋

大局将棋では、成駒が毒狼となり、移動能力は本将棋の玉将と同じように八方向すべてに1マス動くことが可能です。これにより、戦局の展開が非常に柔軟になり、相手に対する圧力を強めることができます。

総括

悪狼という駒は、その動きや成った際の特性により、さまざまな将棋において独自の戦術を発展させる可能性を秘めています。後方への移動ができないという制約がある一方で、成った後の能力や生駒の状態ならではの横移動の可能性など、戦略的な使用方法が求められるのです。このような特異性ゆえに、駒の使い方次第で勝利を引き寄せることも可能でしょう。将棋の多面性を感じる一瞬として、悪狼は確実にその役割を果たしています。

参考文献

• - 梅林勲・岡野伸共著『改訂版 世界の将棋・古代から現代まで』（将棋天国社、2000年）

関連項目

• - 将棋類の一覧
• - 将棋類の駒の一覧

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