悪魔の手毬唄 (1977年の映画)

映画『悪魔の手毬唄』について

『悪魔の手毬唄』は1977年4月2日に公開された日本の映画で、横溝正史の同名小説を基にした作品です。この映画は、東宝映画が製作し、監督は市川崑、主演は石坂浩二が務めています。この作品は金田一耕助シリーズの第2作目として位置付けられ、大きな注目を集めました。

制作の背景

本作は、前年に公開された『犬神家の一族』が大ヒットを記録したことを受けて急遽制作が決まりました。前作と同様に市川崑が監督を続投することになりましたが、当初は辞退を考えていた市川に対し、妻の助言がその考えを改めさせました。製作にあたっては、原作の雰囲気を変えたシナリオ作成が求められ、撮影スケジュールやロケ地の条件に合わせながら、物語の設定は冬に変更されました。原作の昭和20年代の雰囲気を再現するために、撮影現場では様々な工夫を施しました。

受賞歴

『悪魔の手毬唄』は、公開当初から評価を受け、第6回のキネマ旬報ベストテンにランクインしました。また、7億5500万円の配給収入を記録し、1977年の邦画配給収入ランキングで第10位に輝きました。さらに、ブルーリボン賞や報知映画賞など、複数の賞を受賞し、その技術的な優れた点が高く評価されました。

ストーリーの概要

映画の物語は、金田一耕助が旧知の磯川警部から依頼を受けて開始されます。20年前の事件に絡む未解決の殺人事件が再び蘇る中、金田一はさまざまな証拠を駆使して真相を追い詰めていきます。ストーリー展開においては、原作との違いが多く見られ、事件の設定や登場人物の年齢が若干改編されています。たとえば、被害者の年齢が20歳に設定され、様々なキャラクターの属性や名前も変更されました。

映画の特徴とトリビア

この映画では、犯人のキャラクターが妖艶であることが重要視され、平常時とは異なるキャスティングがなされています。監督の市川は、演技において若山富三郎の新たな一面を引き出しました。また、岸恵子がフランスからの出演を果たしたり、映画内で過去の映像が使用されるなど、視覚的な工夫も施されています。特に、監督が後に偶然に気づくことになる鉄道名の演出にも注目です。

映画の影響と受け止め方

『悪魔の手毬唄』は、単なるミステリー作品に留まらず、視聴者に対する心理的な影響を与える作品ともなりました。特に、ストーリーのクライマックスでは多くの感情が交錯し、単なる推理ものとしてだけでなく、人間関係の複雑さや過去の重みを描いた深みのある作品に仕上がっています。

この映画は技術的にも美術的にも高い評価を受け続けており、横溝正史による原作の魅力を引き出しつつ、市川崑のユニークな演出スタイルが光る作品として、今でも多くのファンに愛されています。

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