悲しい色やね

『悲しい色やね －OSAKA BAY BLUES－』

1982年10月21日、上田正樹のシングル『悲しい色やね －OSAKA BAY BLUES－』がリリースされた。この楽曲は、作詞を康珍化、作曲を林哲司、編曲を星勝が手掛けている。上田正樹は、1977年にグループ「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」を解散し、以降ソロ活動に専念していたが、1981年のCBS・ソニーへの移籍後もヒット曲に恵まれない時期が続いていた。

楽曲制作の背景を探ると、上田の音楽ディレクターである関屋薫が、数名の作曲家に楽曲制作を依頼していたことが分かる。その中でも林哲司は、英詩向けのメロディを提案した。関屋はそのメロディに康珍化を起用し、関西弁の歌詞を依頼した際、康が提案したのは意外にも女性の視点からの表現だった。こうしたアイデアには、当時彼を驚かせた逸話が残っている。

康が作詞を完成させると、林はその歌詞に対して「演歌的な曲が売れるわけがない」と否定的な印象を持ちながらも、関屋は独自のメロディと関西弁の歌詞、そして上田の特異なハスキーなボーカルが絶妙にマッチすると直感した。その結果、この楽曲は当初予定されていた『大阪ベイブルース』から『悲しい色やね』と名を改め、サブタイトルとして「－OSAKA BAY BLUES－」が添えられることとなった。

歌詞には、「にじむ街の灯」というフレーズが登場するが、これが元々は「尼崎の街の灯」であったという噂もある。康自身も、尼崎南部の海岸から望む大阪の情景をイメージして作詞に挑んだことを明かしている。またB面には、上田自らが作詞・作曲を行った『Night Train To The Sky』が収録されている。

この楽曲が発表された当初、本作品の売上は期待外れであったが、有線放送でのリクエストが徐々に増加するにつれ、1983年の夏頃にはオリコンチャートに名を連ねるようになる。結果として、オリコン週間シングルチャートの最高順位は第5位となり、1983年の年間ランキングでは第26位を記録。売上も34.8万枚に達した。

TBSテレビの音楽番組『ザ・ベストテン』では、1983年5月26日に「今週のスポットライト」として初登場し、7月7日には第9位にランクイン。さらにその後、4週間にわたって最高6位を記録し、8月18日まで7週間連続で10位内にランクインするという快挙を遂げた。

収録曲

• - 悲しい色やね －OSAKA BAY BLUES－

作詞：康珍化 / 作曲：林哲司 / 編曲：星勝

• - Night Train To The Sky

作詞・作曲：上田正樹 / 編曲：井上鑑

本楽曲は、1980年代の大阪の文化に深く根付いた一曲として、多くの人々によって愛され続けており、さらにその音楽性やメッセージ性が後年にわたり評価を受けるきっかけともなった。

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