悲しみの天使 (映画)

映画『悲しみの天使』について

『悲しみの天使』（原題: Les Amitiés particulières, 英題: This Special Friendship）は、1964年に公開されたフランス映画です。監督はジャン・ドラノワが務めました。原作は、作家ロジェ・ペルフィットが1943年に発表した自伝的小説『特別な友情』です。この小説は、ペルフィット自身の寄宿学校での同性愛的な体験を基に描かれています。

概要

映画は、1920年代初頭のフランスにあるカトリック系の寄宿学校を舞台に、少年たちの純粋で禁断の愛と、それを取り巻く社会的な抑圧を描いています。物語の中心となるのは、14歳のジョルジュと、彼が学校で出会う美しい少年アレクサンドルとの関係です。ジョルジュは、同じ学校の生徒であるルシアンとアンドレが特別な関係であることに気づき、嫉妬心から告げ口をしてしまいます。その後、ジョルジュはミサで出会ったアレクサンドルに惹かれ、2人の間に特別な友情が芽生えます。

ストーリー

ジョルジュは、寄宿学校に入学して間もなく、同級生のルシアンとアンドレが親密な関係であることに気づきます。嫉妬心から、ジョルジュは彼らの関係を学校に告げ口し、アンドレは退学処分となります。その後、ジョルジュはミサで出会ったアレクサンドルに心を奪われ、2人は急速に親密になります。彼らの「特別な友情」は、秘密裏に深まっていきます。しかし、2人の関係は、次第に学校内の他の生徒や教師に知られるようになり、様々な問題を引き起こします。最終的に、ジョルジュとアレクサンドルは引き離され、悲劇的な結末を迎えます。

キャスト

アレクサンドル：ディディエ・オードパン
ジョルジュ：フランシス・ラコンブラード
トレンヌ神父：ミシェル・ブーケ
ローゾン神父：リュシアン・ナット
学院長:ルイス・セニエ
ルシアン：フランソワ・ルシア

制作

映画は、女性プロデューサーのクリスティーヌ・グーズレノールによって映画化されました。監督はジャン・ドラノワ、脚本は『禁じられた遊び』のジャン・オーランシュとピエール・ボスト、撮影は『大いなる幻影』のクリスチャン・マトラが担当しました。撮影は、パリ北郊外にあるロワイヨモン修道院で行われました。

原作者のロジェ・ペルフィットは、撮影現場で出演者の1人である少年アラン＝フィリップ・マラニャック・ダルジャンス・ド・ヴィレールを見初め、生涯の付き合いを持つようになりました。この少年は後に人気歌手アマンダ・レアの夫となりました。

公開と反響

1964年8月、第25回ヴェネツィア国際映画祭で上映され、同年9月4日にフランスで一般公開されました。本国では、公開当初は宗教団体から内容が不道徳であると批判され、18歳未満の入場が禁止されましたが、後に解除されました。

日本では、1964年10月に開催された第4回「フランス映画祭」で『天使の友情』のタイトルで上映され、1970年7月4日に『悲しみの天使』として一般公開されました。1999年3月25日には、「寄宿舎～悲しみの天使」のタイトルでDVD化されました。

テーマと影響

この映画は、同性愛に対する社会的な偏見や抑圧、そして少年たちの純粋な愛と苦悩を描いています。公開当時から大きな議論を呼び、現在でも多くの人々を魅了し続けています。

この作品は、後の漫画作品にも影響を与えており、萩尾望都の『トーマの心臓』や竹宮惠子の『風と木の詩』など、少年愛をテーマにした作品に影響を与えたと考えられています。

関連作品

萩尾望都『トーマの心臓』
竹宮惠子『風と木の詩』

外部リンク

悲しみの天使 - allcinema
悲しみの天使 - KINENOTE
Les amitiés particulières This Special Friendship - オールムービー（英語）
Les amitiés particulières This Special Friendship - IMDb（英語）
* メイキング映像 at INA

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