情報アーキテクチャ

情報アーキテクチャ（Information Architecture, IA）は、情報を整理し、ユーザーが目的の情報に容易にアクセスできるようにするための技術とデザイン分野です。この分野は、単に情報を提示するだけでなく、情報が持つ意味を理解しやすく、効果的に伝えることを重視します。情報アーキテクト（Information Architect）は、この分野の専門家として、ウェブサイトやアプリケーション、さらには印刷物など、多岐にわたる情報媒体の設計に携わります。

情報アーキテクチャの概要

情報アーキテクチャの対象範囲は非常に広範です。具体的な例としては、ウェブサイトの構造設計（サイトストラクチャ）があります。例えば、詳細な情報を一つのページにまとめるか、あるいはハイパーテキストリンクを活用して別のページに分割するかといった、情報の構成方法を決定します。また、抽象的なデータベース設計も情報アーキテクチャの重要な側面です。

ウェブデザインの進化に伴い、従来のグラフィックデザイン（平面デザイン）だけでなく、編集、ビジュアルコミュニケーション、テクノロジーを融合したデザインが求められるようになりました。情報アーキテクチャは、これらの要素を統合し、情報をわかりやすく伝えるためのデザインを追求します。紙媒体のデザインにおいても、単なる紙面レイアウトだけでなく、章立て、目次構成、索引作成など、情報アクセスを向上させるための要素が情報アーキテクチャの範疇に含まれます。

情報アーキテクチャのルーツの一つは図書館情報学にあります。図書館情報学は、情報を整理し、効率的にアクセスするための研究分野であり、その知識と技術が情報アーキテクチャに応用されています。そのため、教育機関の中には図書館情報学の一部として情報アーキテクチャを扱っているところも存在します。

関連組織

情報アーキテクチャの発展を支援する組織として、以下のようなものがあります。

Information Architecture Institute (IA Institute)：米国を拠点とする非営利組織で、情報アーキテクチャの普及活動、設計ツールの開発、教育・人材育成、地域コミュニティの統括などを行っています。IA Instituteは、以前はアシロマ情報アーキテクチャ研究所（The Asilomar Institute for Information Architecture, AIfIA）として知られていました。
World IA Day (WIAD)：世界中で情報アーキテクチャ分野の地域リーダーを育成し、奨励することを目的としたグローバルイベントです。WIADは、米国の非営利組織が主催しており、世界各地でイベントが開催されています。
Information Architecture Association Japan (IAAJ)：日本国内で活動する組織で、イベントやワークショップを通じて、情報アーキテクチャの知識とスキルを普及させる活動を行っています。また、World IA Dayのイベントも東京、京都、福岡、沖縄などで開催されています。

関連事項

情報アーキテクチャは、UIアーキテクチャ、ユーザーエクスペリエンス（UX）デザイン、情報デザイン、インフォグラフィックなど、他の関連分野と密接に関連しています。また、World Wide Web（WWW）における情報構造の設計や、ファインダビリティ（情報の見つけやすさ）の向上も重要なテーマです。

情報アーキテクチャの分野は、リチャード・ソール・ワーマンのような先駆者の貢献によって発展してきました。また、図書館情報学の知識は、情報アーキテクチャの実践において非常に重要な役割を果たします。

参考文献

情報アーキテクチャに関する理解を深めるために、以下の文献が参考になります。

ルイス・ローゼンフェルド、ピーター・モルヴィル著「Web情報アーキテクチャ」（オーム社、2003年）

この文献は、ウェブサイトの構造設計に関する基礎的な知識を提供し、情報アーキテクチャを学ぶ上で不可欠な一冊です。

もう一度検索