愛がなんだ

小説『愛がなんだ』の解説

角田光代による小説『愛がなんだ』は、恋愛における依存や執着といった感情を赤裸々に描いた作品です。2003年に刊行され、2019年には実写映画化もされました。ここでは、そのあらすじや登場人物、映画版の情報について詳しく解説します。

あらすじ

主人公は、28歳の山田テルコ。恋愛に依存しやすく、尽くしすぎてしまう性格が災いして、過去の恋愛では何度も浮気をされてきました。そんなテルコは、マモルという男性に一目惚れし、彼のことで頭がいっぱいになります。仕事を疎かにしてマモルとの予定を優先し、会社を解雇されてしまいます。それでもテルコは、マモルのためなら徹夜で野球のチケットを取ったり、深夜でも駆けつけたりと、盲目的に尽くし続けます。しかし、マモルからの好意は一向に得られません。

ある日、マモルから数ヶ月ぶりに連絡があり、テルコは浮かれて会いに行きます。そこで紹介されたのは、塚越すみれという女性でした。マモルは、すみれに好意を抱いているようです。テルコは、マモルに「今日は恋人を紹介する会だったのか」と尋ねますが、「そういうところが苦手だ」と一蹴されてしまいます。失意のテルコは部屋に引きこもりますが、失業給付金がもらえないことが判明し、近所の健康ランドでアルバイトを始めることに。それでも、マモルからの連絡をチェックする癖は抜けず、仕事中に電話に出ることもあります。テルコは、マモルが好意を寄せるすみれに対し、複雑な感情を抱きながらも、彼女を嫌いになれず、2人で食事に行くような仲になります。

登場人物

山田テルコ: 本作の主人公。恋愛依存症の傾向があり、マモルに盲目的に尽くす。
田中マモル: 出版社に勤務する男性。テルコとは友人関係だが、恋愛感情はない。すみれに好意を抱いている。
坂本葉子: テルコの友人。ライター業をしている。テルコとマモルの関係に苦言を呈する。
仲原: 葉子に想いを寄せる青年。彼女の使い走りをさせられている。
塚越すみれ: マモルが惹かれている女性。サバサバとした性格で、テルコとも親しくなる。

映画

2019年4月19日に公開された映画版『愛がなんだ』は、今泉力哉が監督を務め、岸井ゆきのがテルコを演じました。成田凌がマモル役、深川麻衣が葉子役、江口のりこがすみれ役を演じています。

映画は、テルコの視点から、報われない恋に翻弄される女性の姿をリアルに描き出しています。SNSや口コミで評判が広がり、ロングランヒットを記録しました。

キャスト

山田テルコ：岸井ゆきの
田中マモル：成田凌
坂本葉子：深川麻衣
仲原青：若葉竜也
塚越すみれ：江口のりこ

スタッフ

原作：角田光代
監督：今泉力哉
脚本：澤井香織、今泉力哉
音楽：ゲイリー芦屋

まとめ

小説『愛がなんだ』は、恋愛における依存や執着といった感情をリアルに描き出した作品です。登場人物たちの心情や行動を通して、恋愛の難しさや切なさを感じることができます。映画版も、原作の魅力を忠実に再現しており、多くの観客から共感を呼びました。恋愛という普遍的なテーマを扱いながら、現代社会における人間関係や孤独といった問題にも触れており、深く考えさせられる作品となっています。

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