愛しいかけら
メロキュアの記念すべき1枚目のシングルとして発表された「愛しいかけら」（いとしいかけら）は、2002年7月20日に日本コロムビアからリリースされました。このシングルは、テレビアニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』の主題歌と挿入歌という重要なタイアップ楽曲を含み、グループの代表作として広く認知されています。
表題曲の「愛しいかけら」は、アニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』のオープニングテーマとして使用されました。この楽曲では、メロキュアのメンバーである岡崎律子がメインボーカルを担当しています。深夜帯に放送されたアニメの主題歌でありながら、子供向けのテレビまんが主題歌コンピレーションアルバムにも収録されるなど、そのキャッチーなメロディは幅広い層に届けられました。
カップリングに収められた「Agape」（正式な表記はAgapē）もまた、同アニメの挿入歌として重要な役割を果たした楽曲です。こちらのメインボーカルは、もう一人のメンバーである日向めぐみが務めています。しかし、「Agape」にはこれ以外にも複数のバージョンが存在することが特筆されます。
OVA『円盤皇女ワるきゅーレ Special』では、岡崎律子がメインボーカルを務める「Agape（水の惑星Ver.）」が挿入歌として採用され、メロキュアのアルバム『メロディック・ハード・キュア』にはオリジナル版と共に収録されました。さらに、OVA『円盤皇女ワるきゅーレ 星霊節の花嫁』でも、岡崎が中心となって歌う別アレンジのバージョンが挿入歌として使用されています。このバージョンは長らく音源化されていませんでしたが、2015年に発売されたアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』にて、日向のコーラスを新たに加えた「Agape [switched edition]」として初めてCD化が実現しました。
このシングルに収録された「愛しいかけら」と「Agape」、そしてそれぞれのオリジナル・カラオケバージョンは、いずれも作詞・作曲を岡崎律子が担当し、編曲は西脇辰弥が手がけています。
音楽評論家の冨田明宏は、メロキュアの楽曲、特にこのシングルに収められた二曲を高く評価しています。2015年にアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』がリリースされた際、『リスアニ!』誌上で彼は「愛しいかけら」について、「どこかエロティックにさえ感じる甘く繊細なメロディとコーラスワーク、ジェリーフィッシュのような90年代パワーポップ～インディー・ロック的なアレンジ」が、アニソンでありながらも「かつてないジャンルの自由さとポップネスに彩られた新しいアニソン」であったと評しました。
「Agape」に関しては、その普遍的な魅力を称賛。「極上のメロディ、エモーショナルで緻密なコーラスワーク、壮大なアレンジメント」によってアニソン史に名を刻んだ名曲であり、「その魅力は何ら変わることはないだろう」と述べています。
さらに、冨田は2019年4月にテレビ朝日系列で放送された音楽番組『関ジャム 完全燃SHOW』の特集において、「Agape」を「平成音楽史で"実は超大事な曲"」として紹介しました。彼はこの曲が、挿入歌として異例とも言えるほど本格的な楽曲制作を行い、アニメ作品を音楽で深く彩るという、ある種の基準を引き上げた功績を強調。「恐らく多くのクリエイターが意識せざるを得なくなった」曲として、アニソン界への影響力の大きさを指摘しました。
「愛しいかけら」の印象的なイントロで聴こえるギターストロークのような音色は、実は編曲を手がけた西脇辰弥が演奏したシンセサイザーによるものです。
一方、「Agape」を巡っては、特別なエピソードがあります。岡崎律子の逝去後、この楽曲のマスターセッションデータが長らく所在不明となり、岡崎のボーカルパートを含むオリジナル音源が使用できないため、ライブでの演奏が困難な状況が続いていました。しかし、2011年12月、日向めぐみのライブにサポートとして参加していたロックバンド「クラムボン」のベーシスト、ミト氏が、自身の音楽界における人脈を活かして日本コロムビアの関係者に働きかけたところ、社内でデータが無事発見されました。これにより、2004年3月以来、実に7年9ヶ月ぶりとなるオリジナル音源データを用いた「Agape」のライブ演奏が実現したのです。ミト氏はその後、2015年夏に開催された大規模アニソンイベント「Animelo Summer Live 2015」でも、編曲者の西脇辰弥と共にメロキュアのサポートメンバーとしてステージに立っています。
また、「Agape」のオリジナルCD音源では、楽曲のアウトロ部分がピアノパートのみで終わりますが、ライブ演奏時にはそのピアノに乗せて歌われるコーラスパートが存在しました。このライブでのみ聴くことができたコーラスパートは、2015年に制作された「Agape [switched edition]」で日向めぐみによって新たにレコーディングされ、現在はCD音源でも聴くことが可能になっています。
「Agape」は、その卓越した楽曲性とアニソン史における重要性が認められ、平成アニソン大賞の大賞・特別賞（2000年 - 2009年部門）を受賞しています。
また、この楽曲は多くのアーティストによってカバーされ、その普遍的な魅力は広がり続けています。特に知られているカバーとして、アニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』でメインヒロイン役を演じ、メロキュアの二人とも親交の深い声優・緒方恵美によるカバー（アルバム『アニメグ。』収録）がありますが、これは実際には日向めぐみがゲスト参加した形でのデュエットとなっています。他にも、やなぎなぎ、吉岡亜衣加、ゲーム『THE IDOLM@STER』のキャラクター・萩原雪歩（浅倉杏美）によるカバー（編曲はオリジナルと同じ西脇辰弥）、ChouCho、Liaなどがこの名曲を歌い継いでいます。
これらの楽曲は、メロキュアのベストアルバム『メロディック・ハード・キュア』や『メロディック・スーパー・ハード・キュア』など、様々なアルバムに収録されています。メロキュアの始まりを告げ、アニソン史に大きな足跡を残した「愛しいかけら」シングルは、今なお多くのファンに愛され続ける作品です。
収録曲と概要
表題曲の「愛しいかけら」は、アニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』のオープニングテーマとして使用されました。この楽曲では、メロキュアのメンバーである岡崎律子がメインボーカルを担当しています。深夜帯に放送されたアニメの主題歌でありながら、子供向けのテレビまんが主題歌コンピレーションアルバムにも収録されるなど、そのキャッチーなメロディは幅広い層に届けられました。
カップリングに収められた「Agape」（正式な表記はAgapē）もまた、同アニメの挿入歌として重要な役割を果たした楽曲です。こちらのメインボーカルは、もう一人のメンバーである日向めぐみが務めています。しかし、「Agape」にはこれ以外にも複数のバージョンが存在することが特筆されます。
OVA『円盤皇女ワるきゅーレ Special』では、岡崎律子がメインボーカルを務める「Agape（水の惑星Ver.）」が挿入歌として採用され、メロキュアのアルバム『メロディック・ハード・キュア』にはオリジナル版と共に収録されました。さらに、OVA『円盤皇女ワるきゅーレ 星霊節の花嫁』でも、岡崎が中心となって歌う別アレンジのバージョンが挿入歌として使用されています。このバージョンは長らく音源化されていませんでしたが、2015年に発売されたアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』にて、日向のコーラスを新たに加えた「Agape [switched edition]」として初めてCD化が実現しました。
このシングルに収録された「愛しいかけら」と「Agape」、そしてそれぞれのオリジナル・カラオケバージョンは、いずれも作詞・作曲を岡崎律子が担当し、編曲は西脇辰弥が手がけています。
音楽評論家の評価
音楽評論家の冨田明宏は、メロキュアの楽曲、特にこのシングルに収められた二曲を高く評価しています。2015年にアルバム『メロディック・スーパー・ハード・キュア』がリリースされた際、『リスアニ!』誌上で彼は「愛しいかけら」について、「どこかエロティックにさえ感じる甘く繊細なメロディとコーラスワーク、ジェリーフィッシュのような90年代パワーポップ～インディー・ロック的なアレンジ」が、アニソンでありながらも「かつてないジャンルの自由さとポップネスに彩られた新しいアニソン」であったと評しました。
「Agape」に関しては、その普遍的な魅力を称賛。「極上のメロディ、エモーショナルで緻密なコーラスワーク、壮大なアレンジメント」によってアニソン史に名を刻んだ名曲であり、「その魅力は何ら変わることはないだろう」と述べています。
さらに、冨田は2019年4月にテレビ朝日系列で放送された音楽番組『関ジャム 完全燃SHOW』の特集において、「Agape」を「平成音楽史で"実は超大事な曲"」として紹介しました。彼はこの曲が、挿入歌として異例とも言えるほど本格的な楽曲制作を行い、アニメ作品を音楽で深く彩るという、ある種の基準を引き上げた功績を強調。「恐らく多くのクリエイターが意識せざるを得なくなった」曲として、アニソン界への影響力の大きさを指摘しました。
制作・演奏に関するエピソード
「愛しいかけら」の印象的なイントロで聴こえるギターストロークのような音色は、実は編曲を手がけた西脇辰弥が演奏したシンセサイザーによるものです。
一方、「Agape」を巡っては、特別なエピソードがあります。岡崎律子の逝去後、この楽曲のマスターセッションデータが長らく所在不明となり、岡崎のボーカルパートを含むオリジナル音源が使用できないため、ライブでの演奏が困難な状況が続いていました。しかし、2011年12月、日向めぐみのライブにサポートとして参加していたロックバンド「クラムボン」のベーシスト、ミト氏が、自身の音楽界における人脈を活かして日本コロムビアの関係者に働きかけたところ、社内でデータが無事発見されました。これにより、2004年3月以来、実に7年9ヶ月ぶりとなるオリジナル音源データを用いた「Agape」のライブ演奏が実現したのです。ミト氏はその後、2015年夏に開催された大規模アニソンイベント「Animelo Summer Live 2015」でも、編曲者の西脇辰弥と共にメロキュアのサポートメンバーとしてステージに立っています。
また、「Agape」のオリジナルCD音源では、楽曲のアウトロ部分がピアノパートのみで終わりますが、ライブ演奏時にはそのピアノに乗せて歌われるコーラスパートが存在しました。このライブでのみ聴くことができたコーラスパートは、2015年に制作された「Agape [switched edition]」で日向めぐみによって新たにレコーディングされ、現在はCD音源でも聴くことが可能になっています。
受賞と後世への影響
「Agape」は、その卓越した楽曲性とアニソン史における重要性が認められ、平成アニソン大賞の大賞・特別賞（2000年 - 2009年部門）を受賞しています。
また、この楽曲は多くのアーティストによってカバーされ、その普遍的な魅力は広がり続けています。特に知られているカバーとして、アニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』でメインヒロイン役を演じ、メロキュアの二人とも親交の深い声優・緒方恵美によるカバー（アルバム『アニメグ。』収録）がありますが、これは実際には日向めぐみがゲスト参加した形でのデュエットとなっています。他にも、やなぎなぎ、吉岡亜衣加、ゲーム『THE IDOLM@STER』のキャラクター・萩原雪歩（浅倉杏美）によるカバー（編曲はオリジナルと同じ西脇辰弥）、ChouCho、Liaなどがこの名曲を歌い継いでいます。
これらの楽曲は、メロキュアのベストアルバム『メロディック・ハード・キュア』や『メロディック・スーパー・ハード・キュア』など、様々なアルバムに収録されています。メロキュアの始まりを告げ、アニソン史に大きな足跡を残した「愛しいかけら」シングルは、今なお多くのファンに愛され続ける作品です。
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