愛しのヘナ

映画『愛しのヘナ』について

『愛しのヘナ』は、1991年に公開されたインドのロマンティックドラマ映画で、監督にはランディール・カプールが起用されています。この作品には、リシ・カプール、ゼバ・バフティヤル、アシュウィニー・バーヴといった著名な俳優たちが出演し、心に響く感動的な物語を紡ぎ出しています。この映画は、ラージ・カプールが最初に監督として手掛ける予定であったが、他界によりランディールが引き継ぎ、形作られた作品です。

製作背景

『愛しのヘナ』は、ラージ・カプールの遺作とも言われており、その監督としての情熱とビジョンが色濃く反映されています。脚本はインドの著名な脚本家ハージャー・アフマド・アッバースが執筆し、台詞はパキスタンの脚本家ハシーナ・モインによって仕上げられています。映画はインドの美しい風景の中で撮影され、特にヒマーチャル・プラデーシュ州マナリでのカシミールのシーンは目を引くものがあります。加えて、パキスタンやスイス、オーストリアでも撮影が行われ、国際色豊かな映像美が映し出されています。

ストーリーの概要

物語は、シュリーナガルに住むチャンダル・プラカーシュが婚約者のチャンドニー・カウル（通称チャンド）との結婚を控えている所から始まります。しかし、チャンダルは交通事故に遭遇し、気を失ったまま川に転落してしまいます。彼はパキスタン領の村、ジェラムで意識を取り戻し、ヘナという女性に助けられます。ヘナは彼を医者に連れ、懸命に介抱することで次第に彼に惹かれていきます。

チャンダルは病院で「チャンド」と叫んでいたことから、ヘナたちは彼をそう呼ぶようになります。意識を回復した彼は、医者の仕事を手伝うようになり、次第にヘナに深く心を寄せるようになります。しかし、ヘナの結婚を望んでいたダロガ・シャーバーズ・カーンは、チャンダルに嫉妬し、物語は一層緊張感を帯びていきます。

一方、インドとパキスタンの関係が悪化する中、チャンダルはパキスタン警察からスパイの疑いをかけられます。カーンはヘナとの結婚の準備を続けますが、結婚式当日にチャンダルが記憶を取り戻し、彼がインド人であることが明らかになります。カーンたちは彼をインドの領土に帰すために奔走しますが、ヘナの兄弟が妨害するために計画は失敗。

終わりに

最終的に、チャンダルは無事に帰郷しますが、混乱の中でヘナは命を落としてしまいます。チャンダルは彼女の死を嘆き、戦争の無意味さを問いかける言葉を残し物語は幕を閉じます。『愛しのヘナ』は、愛と悲劇、そして戦争の影響を描いた作品として、多くの人々の心を打つ映画となっています。アカデミー国際長編映画賞のインド代表作品にも選出されるなど、批評家や観客に高く評価されています。

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