愛宕 (砲艦)

日本海軍の砲艦「愛宕」について

「愛宕（あたご）」は、かつて日本海軍に所属した摩耶型の砲艦で、艦名は京都府の名山、愛宕山に由来しています。その建造は1884年に始まり、1886年に進水しました。

艦型と特長

愛宕の船体は、鋼骨鉄皮構造であり、他の艦船とはいくつかの点で異なります。推進器は直径2.438メートル、ピッチ2.896メートルの3翼式で、各1基あたりの翼面積は1.434平方メートルです。兵装としては、計画段階で24cmの旋回砲1門（艦首）、15cmの旋回砲1門（艦尾）、および2門の機銃が設置される予定でした。しかし、文献によって排水量や速力などの設計仕様に食い違いが見られます。

歴史と艦歴

愛宕は1884年6月5日に横須賀で建造することが決まり、初期の艦造りには輸入品の材料が多く使用されましたが、品質に問題があったため製造コストが膨らみました。1887年5月に製造予算が増額され、1888年2月に工事が完成し、3月には艦長に引き渡されました。

その後、愛宕は多くの任務を遂行しました。1892年には沈没した「出雲丸」の乗員の救助活動に参加し、1894年の第一次日中戦争では旅順・大連・威海衛の攻略作戦に従事しました。この戦争では、愛宕が重要な役割を果たし、戦後も清国の警備任務にあたりました。

日露戦争と沈没

1904年に始まった日露戦争では、愛宕は韓国南岸の警備のために出港し、旅順攻略作戦にも参加しました。しかし、1904年10月6日、北隍城島と南隍城島の間の未知の暗礁に座礁し、沈没してしまいます。この事故では、乗員全員が駆逐艦「薄雲」によって救助されました。1905年6月1日には公に愛宕の喪失が発表され、同年6月15日には除籍されました。

まとめ

愛宕はその艦歴の中で、多くの任務を通じて日本海軍の一翼を担いました。特に日清戦争と日露戦争における活躍は、彼女の名を海軍史に刻むこととなりました。愛宕の物語は、時代の波に翻弄された一艦の運命を物語っています。

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