愛宕山古墳 (板野町)

愛宕山古墳の概要

愛宕山古墳は、徳島県板野郡板野町川端に所在する前方後円墳であり、県の指定史跡にも認定されています。この古墳は、吉野川の北岸に広がる平野を見渡せる尾根に築かれ、古代の歴史を物語る重要な遺跡です。古墳の形状は、前方部が北方向に向いた典型的な形式を持ち、全長は63.8メートルとされています。この規模は、徳島県内では渋野丸山古墳に次いで2番目に大きく、古墳時代中期（4世紀末から5世紀初頭）に築造されたと考えられています。

調査の歴史

愛宕山古墳では、1934年に初めて発掘が行われ、その後も何度かの調査が実施されています。1961年には関西大学が調査を行い、1993年には徳島大学による石室の実測が行われました。さらに、2001年には墳丘の再調査が行われ、古墳の詳細なデータが蓄積されています。これらの調査によって、多くの貴重な出土品が発見され、古墳の歴史的価値が改めて確認されています。

墳丘の特徴

愛宕山古墳は、墳丘が二段に築かれており、その外表では葺石や埴輪の破片が発見されています。円筒埴輪や朝顔形埴輪、盾形埴輪といった様々な形態の埴輪が確認されており、これらは古墳の存在を裏付ける重要な証拠です。墓の内部には、後円部の中心に設けられた竪穴式石室があり、この石室は東西方向を主軸としています。地下の石室には、結晶片岩でできた板石が使われており、吉野川の対岸から運ばれたと考えられています。

出土品と文化財としての価値

石室からは、銅鏃や鉄製の矢じり、鉄剣、短甲の破片、さらには管玉やガラス玉などが出土しています。これらの遺物は、当時の人々の生活や埋葬習慣についての貴重な情報を提供し、古墳時代の文化を理解する手助けとなります。愛宕山古墳は、1958年に徳島県の指定文化財に指定されており、その重要性が広く認識されています。

現地情報とアクセス

愛宕山古墳は、徳島県板野郡板野町川端に位置しています。交通の便が良く、四国旅客鉄道（JR四国）高徳線の阿波川端駅から徒歩約10分でアクセス可能です。また、徳島県立博物館では、愛宕山古墳から出土した一部の品々が保管されており、訪れる際にはぜひ立ち寄りたい場所です。

まとめ

愛宕山古墳は、徳島の歴史を語る上で欠かせない文化遺産であり、今後もその研究が進められることが期待されています。周辺には鳴門板野古墳群など、他の古墳も点在しており、古代の遺産を巡る貴重な体験ができます。歴史に興味のある方や、文化財に触れたい方には、ぜひ訪れていただきたい場所です。

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