愛新覚羅載灃

愛新覚羅載灃（あいしんかくら さいほう）

愛新覚羅載灃は、清朝の皇族であり、第2代醇親王。清朝最後の皇帝である宣統帝（溥儀）と、その弟の溥傑の父親です。彼は、激動の時代に翻弄されながらも、その生涯を全うしました。

生涯

醇親王奕譞の五男として生まれ、第11代皇帝光緒帝の異母弟にあたります。父の死後、世襲を許され醇親王を襲封。西太后の信任を受け、義和団の乱後には、公使殺害の謝罪使としてドイツへ派遣されました。1908年、兄の光緒帝が崩御すると、長男の溥儀が第12代皇帝（宣統帝）として即位し、載灃は監国摂政王に就任、全権を掌握します。戊戌の変法を潰した袁世凱を失脚させましたが、辛亥革命が勃発すると、隆裕太后の命令により袁世凱に全権を委譲せざるを得なくなりました。

清朝滅亡後も、溥儀は皇帝の尊号を保持し紫禁城に住むことを許され、載灃はその後見を続けました。満洲事変後、溥儀が日本の傀儡国家である満洲国の元首に担ぎ出された際には、その行く末を憂い反対しました。その後も、満洲国とは一線を画し、北京の自邸で生活しました。そのため、中国が日本との戦争に勝利した後も、溥儀のように漢奸として糾弾されることはなく、中華人民共和国発足後も引退生活者として、その生涯を終えました。

かつての醇親王府は、西側の庭園が宋慶齢の公邸となり、現在は「宋慶齢故居」として一般公開されています。東側の邸宅部分は国家宗教事務局、厩舎と馬場は北京市第二聾唖学校に転用され、清朝の大規模な皇族邸がほぼ完全な形で残されている稀有な例となっています。

人物

皇帝の父として一時的に権力を握りましたが、実際には政治への関心は薄かったようです。清朝滅亡後には、家族に「今日から家に帰って子供たちの世話をすることができる」と語ったと伝えられています。

関連項目

袁世凱
清
* 愛新覚羅溥儀

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