愛知県立蒲郡農学校

愛知県立蒲郡農学校の概要

愛知県立蒲郡農学校は、愛知県の宝飯郡蒲郡町、現・蒲郡市に位置していた農業専門の教育機関です。この学校は1913年に設立され、地方の農業の発展に寄与しました。1948年に学制改革が実施されたことにより、この農学校は愛知県立蒲郡高等学校として新たに生まれ変わります。

設立の背景

宝飯郡の地域社会における農業教育の必要性を感じていた宝飯郡長の島田藹は、他の県の農学校を視察し、その設立を決議しました。1913年5月29日に教育の認可を受け、その年の6月25日には宝飯郡立西部農学校として開校します。当初は蒲郡南部尋常高等小学校の一部を仮校舎として利用し、後に自校舎を整備しました。

校地と実習

1929年において、蒲郡農学校の敷地面積は約11,430平方メートル。さらに、17,797平方メートルの実習地を持ち、水田や畑を含む多様な作物の栽培が行われました。特に果樹園や花卉園、温床が設けられ、生徒たちは実習を通じて生産した野菜や鉢植えを地域で販売しました。また、寄宿舎も完備されており、25%の生徒が寄宿生として通学していました。これにより、県外からの生徒も多く、広域的な農業振興に寄与したと言われています。

教育内容

校内では様々な学科が設けられ、1年生では修身や国語、数学、物理、化学といった基礎教育が行われました。2年生、3年生になるにつれて、農業に特化した科目が増え、実習や専門的な知識が深められました。特に養蚕や園芸は重要なカリキュラムの一部であり、農業の実務的な技術が教えられました。

歴史の変遷

設立当初から多くの変革を経た蒲郡農学校ですが、1923年には宝飯郡実業学校が愛知県に移管され、愛知県立蒲郡農学校という名称に変更されました。この時期、地域の農業教育における重要な役割を担っていたことから、多くの生徒が全国各地から集まりました。1929年には卒業生によって三河温室園芸組合が設立され、農業技術の普及に貢献しました。

統合とその後

1948年には学制改革が行われ、蒲郡農学校は愛知県立蒲郡農業高校に改称されました。同年、蒲郡高等女学校との統合が実施され、新たに愛知県立蒲郡高等学校として開校。その後の農業科や園芸科は、学校の教育内容に引き継がれていきましたが、時代の流れとともに農業関連学科は1969年度に廃止されました。

まとめ

歴史を経て閉校した愛知県立蒲郡農学校は、地域の農業に大きな影響を与え、数多くの優れた卒業生を輩出しました。彼らは蒲郡市を中心に蒲郡みかんや園芸農業の発展に貢献し、今なおその影響は地域社会に根付いています。

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