修身

修身（しゅうしん）とは

修身は、「自己を修めること」を意味しる日本の道徳教育の一環として、特に明治から昭和期にかけて重要視されました。この科目は、主に1890年の教育勅語発布から1945年の第二次世界大戦後まで継続して用いられました。修身は当初、イギリスなどの宗教[[教育]]に相当し、戦後の道徳教育への移行の基盤ともなりました。

歴史的背景

修身は、明治期には主に教育課程の中で重要な役割を果たし、政府は教育を通じて国民の道徳を高めることを狙いとしていました。しかし、戦後に連合国による占領が始まると、修身は軍国主義教育と見なされ、授業が停止されることになりました。その背景には、個人主義や物質主義が蔓延する中での不良少年少女問題がありました。

その後、1950年代に「逆コース」の動きがあり、修身に基づく道徳教育が再評価された結果、「道徳」という科目が復活することになりました。

語源と成立の経緯

修身という言葉は、明治期のモラルサイエンスという概念から派生しており、特に福澤諭吉や小幡篤次郎などがその翻訳を手掛けました。修身論の原著であるフランシス・ウェーランドの『The Elements of Moral Science』は、道徳教育における基礎文献として位置づけられています。

江戸時代の倫理観

江戸時代には朱子学が国の正学として確立され、上下の関係を重視した教育が行われていました。幕府はキリスト教を禁じ、教育内容は儒教が中心となっていました。明治維新後は、西洋文化の影響を受けた教育改革が進められましたが、これに対する反発も多く見られました。

学制と修身科

1872年に導入された学制により、修身は道徳教育の基盤として確立されました。政府は全ての人が学校に通うことが必要とし、学問を授ける教育方針が支持されていました。しかし、修身に充てられた授業は限られた時間であり、内容も法律書のようで子供には難解でした。おもに西洋の倫理書の翻訳が用いられ、教育効果には疑問も呈されていました。

道徳教育の変遷

その後、教育の重要性が強調される中で、修身科は国民の道徳心を育てるためにプログラムが充実していきました。1880年代以降は、儒教主義的な教育内容が強調され、修身教育は国家に対する忠誠心を育むものへとシフトしました。特に、教育勅語の発布後は、道徳教育は国民の教育において最重要項目とされるようになりました。

戦後の改革

しかし、第二次世界大戦後のGHQによる占領時代に入ると、修身は廃止され、教育体系は大きく再編されました。新たな道徳教育が模索される中で、修身に相当する教育の再導入は実現しなかったものの、その理念は後の道徳教育に多大な影響を及ぼしました。

修身は日本の教育史の中で重要な位置を占める存在であり、その影響を受けた多くの教科や教育理念は、今日における道徳教育の在り方にも見て取れます。

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