愛知県美術館

愛知県美術館：歴史とコレクション

愛知県名古屋市東区にある愛知県美術館は、国内外の20世紀美術を幅広く網羅する、歴史と魅力あふれる美術館です。その起源は、1955年に開館した愛知県文化会館美術館に遡ります。この美術館は、神奈川県立近代美術館に次いで戦後日本で2番目に開館した公立美術館であり、日本の近代美術発展に大きく貢献しました。

愛知県文化会館美術館：戦後の文化拠点

愛知県文化会館美術館は、桑原幹根愛知県知事による文化センター構想に基づき、サンフランシスコ講和条約締結の記念事業として建設されました。愛知県図書館、講堂とともに、現在のオアシス21があった場所に位置していました。鉄骨鉄筋コンクリート造2階建て、延床面積5,698.35㎡の建物は、名古屋市役所本庁舎、名古屋駅と並んで「名古屋における日本近代建築史上に止めるべき3つの建築物」のひとつと評されることもあります。

アントワーヌ・ブールデルのブロンズ像4基がロビーに飾られ、美術館のシンボルとして親しまれました。中部地方を代表する大規模ギャラリーとして、日本の近現代絵画を中心とした美術品の収集・展示を行い、1975年には移動美術館を初開催、1979年には常設展示室を設置するなど、積極的に活動していました。

愛知県美術館：新たな時代へ

1992年、愛知芸術文化センター内に新たな愛知県美術館が開館しました。その後、博物館法による博物館相当施設の指定（2002年）、文化庁公開承認施設の承認（2003年）を受け、更なる発展を遂げます。著名な美術品収集家、木村定三氏からのコレクション寄贈（2003年）により、木村定三コレクション室が開設されたことも大きな出来事でした。

愛知県美術館は、国際芸術祭「あいち」（旧称：あいちトリエンナーレ）の会場としても知られています。2010年から2022年まで複数回開催され、現代美術の最先端に触れる機会を提供してきました。2017年から2019年にかけて大規模な改修工事を経てリニューアルオープンし、より快適な鑑賞空間が実現しています。

幅広いコレクションとデジタルアーカイブへの取り組み

愛知県美術館の収蔵品は約8700点。20世紀美術を中心に、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、グスタフ・クリムトといった西洋巨匠の作品から、梅原龍三郎、安井曽太郎、横山大観といった日本の近代絵画の巨匠たちの作品まで、多様な作品が収蔵されています。

また、所蔵作品のデジタルアーカイブにも積極的に取り組んでおり、文化遺産オンライン、Google Arts & Culture、ジャパンサーチ、アートプラットフォームジャパンなどとのデータ連携を進めています。2018年には1200点を超えるパブリックドメインの作品画像をウェブサイト上で公開し、2024年には作品の裏面画像の公開も開始するなど、情報公開にも力を入れています。

施設とアクセス

美術館は、8階に10室の展示室（計3,113㎡）、10階に大小8つの企画・コレクション展示室を備えています。県内最大規模の展示スペースを誇ります。

アクセスは、名古屋市営地下鉄名城線・東山線栄駅、桜通線・名城線久屋大通駅、名鉄瀬戸線栄町駅から徒歩約3分と便利です。また、オアシス21のバスターミナルからもアクセス可能です。自家用車の場合は、名古屋高速都心環状線東新町出口から3分、地下駐車場（512台）も利用できます。

まとめ

愛知県美術館は、戦後の日本の美術史を語る上で重要な役割を果たしてきた美術館であり、これからも現代美術の動向を反映しながら、地域社会に貢献し続けるでしょう。その充実したコレクションとデジタルアーカイブへの取り組みは、美術愛好家だけでなく、広く一般の人々にも開かれた、魅力的な文化施設と言えます。

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