愛知高速交通東部丘陵線

愛知高速交通東部丘陵線（リニモ）の概要

愛知高速交通東部丘陵線、愛称「リニモ (Linimo)」は、愛知県名古屋市名東区の藤が丘駅から豊田市八草駅までを結ぶ8.9kmの磁気浮上式鉄道です。日本初の常設実用路線として2005年3月6日に開業し、同年開催された愛知万博（愛・地球博）へのアクセス路線としての役割を担いました。その後も、名古屋市営地下鉄東山線や愛知環状鉄道と接続し、名古屋市内と東部丘陵地域を結ぶ重要な交通インフラとして機能しています。

リニモの技術と特徴

リニモは常電導吸引型磁気浮上式鉄道（HSST）を採用しています。車輪を使用しないため、従来の鉄道に比べて騒音や振動が少なく、スムーズな走行を実現しています。リニアモーターによる駆動システムは、急勾配にも対応できる高い加減速性能を備え、最高速度は約100km/hに達します。無人運転システム（ATO）を採用し、効率的な運行を可能にしています。ただし、教育訓練や貸切運転時は有人運転が行われる場合もあります。また、安全面への配慮として全駅にホームドアが設置されています。

駅と路線

リニモは全9駅で構成され、藤が丘駅から名東区のはなみずき通駅までは地下区間、以降は高架区間となっています。多くの駅は無人駅ですが、窓口は設置され、イベント時などには駅員が配置されることがあります。駅名標には日本語、英語、中国語、韓国語に加え、ポルトガル語（ブラジルポルトガル語）も表記されています。瀬戸市、日進市には路線は通っていませんが、両市は愛知高速交通の株主となっています。

運行形態とダイヤ

リニモの運行間隔は時間帯によって異なり、平日朝ラッシュ時は6分間隔、それ以外の時間帯は7～10分間隔となっています。大学開講期間と休講期間でダイヤが変更されるほか、土休日ダイヤやイオンモール長久手の開業に伴うダイヤ改正など、利用状況に合わせて柔軟な対応が行われています。2019年には安全対策強化のため臨時ダイヤが実施されたこともあります。愛知万博開催時には、万博輸送を目的とした特別な運行体系が採られていました。

利用状況と課題

愛知万博開催時は、多くの利用者を集めましたが、閉幕後は利用者数が減少しました。その後、年々増加傾向にあり、2015年度には開業以来初めて営業・経常黒字となりました。しかし、2020年度はコロナ禍の影響で再び赤字となりました。2022年度にはジブリパーク開園の影響で黒字に回復しています。

利用者数低迷の原因としては、沿線地域の開発遅れによる人口の少なさ、他の交通機関との接続の不便さ、運賃の高騰などが挙げられています。運行会社は、利用者増加に向けた様々な施策を実施しており、今後も更なる努力が求められています。

HSSTシステム

リニモが採用するHSSTシステムは、従来のモノレールやAGTに比べてインフラ整備コストが低いことが特徴です。車輪を使用しないため、騒音や振動が少なく、加減速性能や登坂性能にも優れています。電力消費が大きいという課題はありますが、静粛性と快適性の高い輸送システムとして評価されています。

歴史

リニモの建設は、東部丘陵地域の開発に伴う交通需要の増加に対応するため、1990年代から検討が始まりました。愛知万博の開催決定を受け、アクセス路線としての位置づけが明確になり、2000年に愛知高速交通株式会社が設立、2002年に着工、2005年に開業しました。開業以来、ダイヤ改正やICカード導入、安全対策強化など、様々な改善策が実施されてきました。

運賃・乗車券

リニモの運賃は距離制で、manacaなどの交通系ICカードや各種乗車券が利用可能です。manaca導入前は、リニモ独自の乗車券システムがありました。定期券は藤が丘駅または八草駅で購入できます。

まとめ

リニモは、革新的な技術と愛知万博という歴史的背景を持つ、ユニークな磁気浮上式鉄道です。今後の更なる利用者増加と、地域社会への貢献が期待されています。

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