慈雲院 (下呂市)

慈雲院は、岐阜県下呂市乗政に位置する臨済宗妙心寺派の寺院で、光明山と号しています。本尊は薬師如来です。

創建については詳しい記録が残っておらず不明ですが、元は大威徳寺の子院であったと伝えられています。その後、大威徳寺が廃絶したことで、禅昌寺の末寺となりました。中興開山は、慶長5年（1603年）に禅昌寺五世の功叔宗輔によって行われました。これにより、寺は再興され、現在に至っています。

明治時代の神仏分離以前は、隣接する乗政八幡神社の別当を務めていました。現在も両者は隣り合わせに位置しており、深い関係性をうかがわせます。

また、慈雲院は地域における霊場としての役割も担っています。益田西国三十三霊場では、乗政の真観堂（14番）を管理しており、聖観世音菩薩を祀っています。さらに、令和3年（2021年）に始まった下呂温泉周遊七福神めぐりでは、大黒天を祀る霊場の一つとなっています。

このように慈雲院は、創建以来、地域の信仰の中心として、また、人々の心の拠り所として、歴史を重ねてきました。静かで落ち着いた雰囲気の中で、訪れる人々を優しく迎え入れています。


参考文献

* 益田郡『岐阜県益田郡誌』pp.474,493,495 1916年

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