慧可

慧可（えか）

慧可は、中国禅宗において第二祖とされる高僧であり、正宗普覚大師という尊称でも知られています。俗姓は姫氏、幼名は神光と伝えられています。

生涯

慧可は、洛陽虎牢（現在の河南省滎陽市付近）で生まれました。幼少の頃から儒教や老荘思想を学んでいましたが、その教えに満足することができず、仏教に惹かれるようになりました。洛陽香山（現在の龍門山）の永穆寺で出家し、僧侶としての道を歩み始めます。

出家後、慧可は仏法を求めて各地を放浪しました。その後、香山に戻り8年間修行を続けましたが、その間も心の奥底にある疑念を晴らすことができませんでした。そこで、嵩山の少林寺で壁に向かって座禅をしていた達磨大師に面会し、弟子入りを懇願しました。

達磨大師は当初、慧可の弟子入りを拒否しましたが、慧可は諦めませんでした。自らの腕を切り落とすことで、その決意が世俗的な欲や打算によるものではないことを示し、ついに達磨大師の弟子となることを許されたと伝えられています（この逸話は「雪中断臂」として知られています）。しかし、実際には慧可は生まれつき腕がなかったという説もあり、この逸話は後世に作られたものとも言われています。

慧可は、達磨大師から禅の教えを深く学び、その法統を継承し、禅宗第二祖となりました。その後、弟子の鑑智僧璨を育て、禅の教えを伝えました。

しかし、慧可の布教活動は困難を極め、常に迫害や妨害にさらされていました。特に、周武帝による廃仏政策の際には、都を離れて舒州皖公山（現在の安徽省安慶市潜山市）に避難することを余儀なくされました。

成安県で布教活動を行っていた際、慧可の説法に聴衆が奪われたことを恨んだ匡救寺の僧弁和は、慧可を「講席を打ち破る邪見の道人」であると訴えました。弁和の讒訴を受けた県令は、慧可を捕らえ、取り調べもせずに処刑しました。享年106歳であったと伝えられています。

その他

近年、慧可は涅槃論の恵可と同一人物ではないかという説も浮上しています。また、雪舟の水墨画『慧可断臂図』は、慧可が腕を切り落としたという伝説を描いたものとして有名です。

慧可は、禅宗の歴史において重要な人物であり、その生涯と教えは、今日まで多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索