慶佐次通信所

慶佐次通信所

慶佐次通信所（げさじつうしんじょ、Gesaji Communication Site）は、かつて沖縄県国頭郡東村に存在した米軍基地です。面積は約0.01平方キロメートル（74,700㎡）と小規模ながら、重要な通信施設としての役割を担っていました。この基地は、1963年11月にうるま市伊計島にあった伊計島ロラン局を移転する形で開設されました。

基地概要

正式名称は「慶佐次通信所（Gesaji Communication Site）」で、東村字慶佐次に位置していました。基地が占めていた土地は全て私有地でした。主な用途は通信施設（ロランC局）であり、長崎県の佐世保基地と沖縄の米軍基地を結ぶ光ファイバー通信施設の維持管理が主な任務でした。管轄は米陸軍第10地域支援群司令部第58通信大隊が担当していました。

地理

慶佐次通信所は、東村字慶佐次の東側高台に位置し、周辺は豊かな自然に囲まれていました。慶佐次川には沖縄本島で最大級のマングローブ林が広がり、慶佐次湾のヒルギ林は国指定天然記念物となっています。また、国道331号を挟んで西側には東村ふれあいヒルギ公園があります。

沿革

1962年10月15日、米軍（沿岸警備隊）によって「慶佐次ロランC局」として使用が開始されました。約200メートルの高さの塔から発射される電波は、他局と連携して西太平洋全域をカバーしていました。1972年5月15日の沖縄返還協定により、継続使用される米軍基地として提供されました。

1991年7月には、佐世保基地と通信所を結ぶ海底光ファイバーケーブルが敷設され、通信能力が強化されました。しかし、1993年7月には米国が人工衛星による測位システムGPSに重点を置く方針に転換したため、ロランCチェーンの運用終了が決定。業務は米軍沿岸警備隊から海上保安庁（第11管区海上保安本部）に移管され、運用が開始されました。1995年4月1日には、施設管理権が米海軍（沿岸警備隊）から米陸軍へと移管されました。

2015年2月1日午前9時、国内最後のロランC局であった慶佐次ロランC局が閉局しました。同年2月27日には、土地と周辺水域が日本に返還され、3月には鉄塔が解体されました。4月中旬からは原状回復工事が実施され、2016年4月1日には約54年ぶりに土地が所有者に引き渡されました。

その他

1963年から1975年頃にかけて、施設建設の際に樹林が伐採されて整地された結果、保水力が低下し、降雨時に通信所から雨水が流入して赤土が堆積し、周辺の農地が休耕を余儀なくされた時期がありました。

また、2015年には、当時の東村長が跡地の活用としてUSJ誘致計画を掲げ、首相官邸で関係者と会談し、協力を求めたという出来事がありました。

沖縄における米軍のロラン局

ロラン（LORAN）システムは、第二次世界大戦中に米国が開発し、1942年10月に太平洋上で業務を開始しました。戦後も米国防省は、軍事的理由から北半球各地にロランチェーンを展開し、占領後の沖縄や日本とその周辺地域にロラン局を設置しました。以下は、米沿岸警備隊が沖縄で開設したロラン局です。

伊計島ロラン局（うるま市）
慶佐次ロラン局（東村）


脚注

施設名の「慶佐次」は「げさじ」と発声しますが、字名としての「慶佐次」は「げさし」と発声します。

関連項目

沖縄の米軍基地
アメリカ軍
在日米軍
在沖米軍
アメリカ陸軍
* 在日米陸軍

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