LORAN

LORAN（ロラン）システムの概要

LORAN（ロラン）は、「long-range navigation」の略称で、長距離電波航法を指す地上系の航法支援システムです。主に、船舶や航空機の位置を特定するために使用されてきましたが、最近ではGPS（グローバル・ポジショニング・システム）の普及に伴い、多くの国でその運用が終了しています。日本でも、東京計器等の企業がLORANの受信機を製造し、利用されていました。

概要

LORANは、幾何学的特性を利用した双曲線航法を基盤としており、2つの無線測位局からの信号を受信し、その到達時間差を計算することで位置を特定します。この方式により、地図上の双曲線上で自船の位置を確認することができます。LORANには、使用される周波数帯によって、ロランA（1750 - 1950 kHz）およびロランC（100 kHz）という2種類があります。

このシステムは、1942年にアメリカ海軍がマサチューセッツ工科大学と共に開発し、イギリス海軍のGEE電波航法を基にしています。開発当初からアメリカ海軍によって管理され、運用されてきました。

ロランの種類

ロランA

ロランAは、1750 - 1950 kHzの帯域でパルス波を発信し、日中で約700海里、夜間で約1,400海里の最大有効距離を持ちます。日本では1955年頃からこのシステムが運用されましたが、1997年に廃止されました。

ロランC

ロランCは、100 kHzの周波数帯を使用し、最大約2,300海里の有効距離を誇ります。このシステムは位置精度が30 - 300メートル程度となっており、北太平洋沿岸や北アメリカ大陸、北大西洋沿岸の各地域に設置されていました。アメリカのロランCは、GPSの発展に伴い徐々に運用が廃止されていき、2010年には北アメリカ大陸における運用も終了しました。

日本におけるロランCの運用

日本では、海上保安庁が1991年よりLORANシステムの整備に着手し、1993年には千葉ロランセンターを開設しました。1994年には硫黄島ロランC主局が廃局され、新たに新島ロランC局を設置して運用を開始しました。その後、南鳥島や十勝太のロランC局が廃止され、最終的に2015年には慶佐次ロランC局も廃止されました。これにより、日本国内でのLORANの運用は完全に終了しました。

また、極東地域では日本、中華人民共和国、大韓民国、ロシア連邦の4か国による協定が結ばれていましたが、日本の全局が廃止されたことを受けて、2015年に日本はこの協定から脱退しました。

eLORANの進展

近年では、LORANの強化版ともいえる「eLORAN」が注目されています。このシステムは、受信機の設計や送信特性の向上によって、従来のLORANに比べて精度を高めています。特にeLORANは、通常のGPSに対抗できる精度を持ち、最大で±8メートルの精度を実現します。また、ディファレンシャルGPS（DGPS）補正のような補助データを送信することも可能です。

イギリスでは、2007年にeLORANサービスが導入され、特に船舶の安全確保に貢献すると期待されています。このように、LORANは新たな技術によって、今なお航法支援の一翼を担う可能性を探られています。

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