慶應義塾新田運動場

慶應義塾新田運動場の歴史

慶應義塾新田運動場は、1920年代に東京府荏原郡矢口村（現在の東京都大田区千鳥2丁目）に建設された、慶應義塾が所有する大規模な運動施設でした。その広大な敷地面積は1万4251坪に及び、陸上競技、サッカー、野球など、様々なスポーツに対応できる設備を備えていました。

1925年5月に着工し、翌1926年6月には陸上400mトラックと蹴球場が完成。蹴球部と競走部による運動場開きが行われました。さらに同年8月25日には、1万5千人を収容可能な野球場も竣工し、その3日後にはフィリピン野球団を迎えて盛大な球場開き試合が開催されました。この新田球場には、慶應義塾大学野球部の合宿所も併設されており、選手たちの練習拠点として重要な役割を果たしました。

1931年に神宮球場の拡張工事が完了するまで、新田球場は東京六大学野球の公式戦の舞台としても利用され、多くの熱戦が繰り広げられました。しかし、慶應義塾が日吉に新たな運動場を建設することを決定したため、新田運動場は売却されることになります。1936年には観客席が、そして1938年から1939年にかけては運動場用地が同潤会に売却されました。

興味深いことに、1940年3月22日付の『東京朝日新聞』には、慶大野球部が「新田球場」で練習を行ったという記事が掲載されています。このことから、新田の野球部施設は、現在の横浜市にある下田グラウンドが完成するまで、引き続き使用されていたと考えられます。

慶大グラウンド前駅

現在の東急池上線千鳥町駅は、開業当初「慶大グラウンド前駅」という名称でした。この駅は、東京六大学野球の試合などが開催される際にのみ営業する臨時駅として設置されましたが、後に正式な駅へと昇格しました。

当時、この駅は目黒蒲田電鉄の武蔵新田駅との間で激しい集客競争を繰り広げました。しかし、1934年に池上電鉄と目黒蒲田電鉄が合併し、さらに慶應義塾のグラウンドが移転したことで、この旅客獲得競争は終結しました。慶大グラウンド前駅は、新田運動場の歴史を語る上で、重要な存在だったと言えるでしょう。

参考文献

慶應義塾 『慶應義塾七十五年史』 1932年
慶應義塾 『慶應義塾百年史』 中巻（後） 1964年

外部リンク

三田評論 2014年1月号 慶應義塾大学出版会

関連項目

慶應義塾体育会野球部
慶大グラウンド前駅
武蔵新田駅
* 三田綱町球場

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